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2016年9月19日更新

スポーツモデルの最高峰としてノーチラスの先にあるはずだった、ピアジェ『ポロ』

1970年代後半といえば、パテックフィリップノーチラスオーデマピゲロイヤルオークが登場した時期と同じ。

ブレスレットが基本のスポーツモデルというコンセプトはそれぞれ変わりませんが、ノーチラスロイヤルオークがステンレスを採用したのに対してポロは金無垢のみ。

よって、ノーチラスロイヤルオークとは一味違う個性を発揮していたのがポロの良さだったのです。

で、その良さを最大に引き出したのが2001年に登場したこれ

このポロがデビューした当時のノーチラス現役モデルは3800/1A3710/1A

2001年当時はノーチラスの評価が低く、またピアジェポロは平行店での取り扱いがほぼ皆無だったため、両者の価格差は150万円前後(ポロが150万円高い)といったところ。

しかし今では、ノーチラスはすっかり人気モデルとなり、特に3710は金無垢のピアジェポロよりはるかに高い価格で取引されています。

ただ、本来、ポロはノーチラスよりさらに先にあるモデル。ステンレスのノーチラスに飽きた先には、同じコンセプトで“金無垢オンリーのこれ”が次のステップとして待っていたはずなのです。

ですから、ノーチラスと同じかそれ以上に世界中で高値となってもおかしくないのがこのピアジェポロ。

しかし、ピアジェポロは2001年に登場させたこのモデルの後に、チタンモデルなど変わり種を次々と投入。

しかもこのポロ自体もデイト表示のデザインを変えたりと、ノーチラスのように「ドーンと」構えていない印象。

そして、ついに今年、ポロ自体がノーチラスのようになってしまったではありませんか。

ポロなのにステンレスが中心。海外メディアもいうように、文字盤やベゼルのデザインがノーチラスを彷彿させるデザインとなりました。

つまり、ノーチラスの先にある存在だったはずのポロが自らノーチラスに近づいてきた。

というよりもノーチラスと同じような内容で安く売る”という、なんとも哲学が感じられないモノへと変化してしまったのが残念なところであります。

確かに実物の作りはさすがピアジェと思わせてくれるぐらい良さそうな新型ポロS

しかし、腕時計としての哲学は2001年に出たポロには敵わないと思います。

新しいポロをああいう形で出すというチャレンジ自体は素晴らしいと感じますが、しかしポロとしての良さが失われてしまったのは非常にもったいない。

一応「S」がついているのでポロとは別という扱いなのでしょうが、一般的にはそんな違いは分かってくれないと思います。

新型、内容がかなり良いので、ポロではなくアップストリームとして出すか、新しい名前で出してくれれば印象はもっと違ったモノとなったことでしょう。

とはいえ、これだけ宣伝広告をしてポロをプロモーションしているので、ポロ自体の知名度は上がりつつあるはず。

そんな中、この2001年に出たポロの良さに気づく人が0.1%でもいれば、値上がりのチャンスの第一歩となるかもしれません。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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