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2017年10月2日更新

AppleWatchに勝っている要素とは、アイクポッドヘミポッドカニングハム

アイクポッドといえば、マークニューソン氏がデザインした高級腕時計として有名で、今では同じくマークニューソン氏がデザインしたApple Watchとの共通点を意識させる時計です。

両者のデザインはとても良く似ており、特にケースに直付けされているように見えるベルト部分は、パテックフィリップゴールデンエリプスを感じさせるポイントでもあり、とても魅力的な要素だと思います。

アイクポッドの良さといえば、高級腕時計に採用されないデザインをあえて採用したという点。

そこには、高級なカジュアル感という、近代美術館に展示されている作品のような良さが確かに存在するのですが、いざ買おうと思ったら選択しづらいという側面も存在。

アイクポッドを良いと思う時計ファンがいたとしても、「2本目の時計」というわけにはいかず、「5本目の時計」か「10本目の時計」ぐらいの段階でやっと買う、というのが自然な購買行動となるかと予測できます。

そのため、アイクポッドというブランドは1994年に登場してから10年後には資本が変わっている模様です。

このように、アイクポッドという腕時計のコンセプトは、良い要素がある反面、どこか惜しいところがあったのですが、その欠点を解消したといえるのがまさにアップルウォッチ。

2017年9月にiPhone Xの発表をしたのと同じ発表会で、CEOのティム・クック氏がApple Watchの売上がロレックスを超えたと報告。

アップルのキーノートに、ロレックスオメガという言葉が出てくるのは意外ですが、プレミアム感を感じさせるブランドという点は共通しています。

Apple Watchという存在は、Apple Storeという販売網を持つアップル社にとってはとても良い製品。

Apple Storeは銀座のような旗艦店はもちろん、かつて「Apple Store in Store」と自称していた家電量販店内のアップルコーナーも、Apple Store銀座店と同じような高級感のある空間となっているのです。

これは、スティーブ・ジョブズ氏のこだわりだったと予測できますが、その遺産がApple Watchを売るには最適な場所となったのです。

つまり、高級腕時計ブランドに対してアップルは圧倒的な数のリアル店舗を持っているわけです。その結果、Apple Watchは「アップル初の腕時計」や「iPadの次の新製品」という話題性にともなって、かなりの数が売れたと予測できます。

しかし、これは一時的な需要を取りこぼさないことに成功したに過ぎず、今後もApple Watchを欲しいと思い続ける人がいるかどうかは疑わしいと感じます。

ただ、ティム・クック氏の戦略は現在におけるApple Watchの成功に見られるように緻密で正確なため、何かしらの手は打つでしょう。

そんな優秀な経営の結果、現在世界で一番売上高の高い存在となったApple Watch。一方、似たコンセプトでも影響力の低いアイクポッド。それら両者は、まさに「経営力の差」を象徴するようでもあります。

とはいえ、製品としてどちらの残存価額が残りやすいかというと、実はアイクポッドに軍配が上がります

2015年に発売されたApple Watch初代モデルの残存価額(2017年)は50%程度。ちなみにこれは新品対新品での比較です。現在、新品が2015年当時の半値程度で売られている模様。Apple製品としてはめずらしく値下げ状態で新品が売られているのです。

それに対して、アイクポッドは2013年から4年以上経過しても105%(中古対中古)という残存価額を保ち続けているのです。

アップルウォッチの場合、出てから年数が経過していないため、まだ中古対中古の比較は困難ですが、先の新品比較を見る限り、中古状態での価値を保ち続ける期待はあまりできないでしょう。

よって、残存価額の高さという観点では、アイクポッドはApple Watchに勝っているのです。

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アイクポッドヘミポッドカニングハムの価格比較

時計名 状態 2013年2月の安値(ヤフオク) 期間 2017年9月の安値(楽天) 変動した額 残存価額
アイクポッド
ヘミポッド
カニングハム
中古 ¥231,000 4年
7ヶ月
¥243,000 12,000 105.19%
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