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三雲と呼ばれる底力、ヴァシュロンコンスタンタンオーバーシーズ

2002年冬ごろまで、これら3つのブランドのスポーツモデルはかなり安値な傾向。

その頃の中古相場は、

というような感じでした。

ちなみに、現在でもラージのちょい安がミディアムという傾向は変わっていません。

その後、アクアノートノーチラス含め)はどんどん値上がりを開始。

安い時では60万円台でも買えたアクアノートは、100万円以下で買うことができない時計となったのです。

しかし、アクアノートがそのような状態となってもオーバーシーズは40万円台をキープ。

ステンレスブレス、防水、自動巻のスポーツタイプというオーバーシーズは、アクアノートロイヤルオークと同じく、三雲ブランドによる“ロレックス的なモデル”というポジション。

ですから、ロレックスのステンレスモデルより倍ぐらい高い相場というのがふさわしいのです。

しかし、値上がりしなかったオーバーシーズは、値上がり傾向だったロレックスよりもお得に買える三雲ブランド、という悲しい存在へと変化。

そして、リーマンショックの2008年以降、ついにオーバーシーズは、3針中最も高い自動巻のラージサイズですら30万円台中盤まで下がったのです。ひどい時には32万円というものもありました。

パテックと比べると、ヴァシュロンは少し弱い面もあるのです。パテックはマニュファクチュールなので当然自社製の美しいムーブメント。一方オーバーシーズのムーブメントは他社製でジラールペルゴの薄型ムーブメントを使用しています。

さらにミディアム、ラージという各サイズにクオーツも用意する構成も、三雲ブランドのスポーツとしては物足りなさを感じさせられる要素です。

ですから、オーバーシーズは三雲スポーツとしては安い存在と思われてもしかたがない側面もあるのです。

それが、最近オーバーシーズは過去最高値状態。

やっと三雲ブランドらしい相場となってきました。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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