パネライのモデルで、愛称が存在するものはあまり多くありませんが、このPAM00183には「ブラックシール」という名前があります。
それは、文字盤にもはっきり書かれているのですが、なぜそういった要素が与えられているのかというと、それはこの183番がデビューした2004年当時の事情だといえるでしょう。
ラジオミールというシリーズは、今でこそ「高級」という要素を感じませんが、2000年代中盤まではパネライにおける最高級シリーズというポジションを担っていました。
ラジオミールとなると、搭載されるムーブメントはゼニスエリートといった機種だったり、アラームといったように、何らかの仕掛けが備わっていた傾向があったわけです。
しかし、このブラックシールのムーブメントは、当時のルミノールと同じETA(ユニタス)。
ですから、高級シリーズであるラジオミールのカジュアル版であることを示すために「ブラックシール」というサブネームが与えられたのだと思います。
こういった手法は、高級品において珍しくありませんが、高級シリーズのカジュアルバージョンというキャラクターは、なかなかな注目度となるケースが多いと感じます。
具体的には、1999年に発表されたロレックスのヨットマスターがそれに該当すると思いますが、当時、最上級スポーツだったヨットマスターのカジュアルモデルとして登場したロレジウムは、一時的に定価以上の水準となっていたぐらいです。
それと同様、このブラックシールも2004年の登場時から非常に注目度が高く、かなり人気なモデルだったといえます。
さて、このブラックシールが面白いのは、その高い人気度がその後も継続していたという点です。
このブラックシールが出た翌年の2005年頃からラジオミールは脱高級化を進むこととなるわけですが、そうなるとブラックシールのヨットマスターロレジウム的キャラクター性は失われることになるわけです。
まして、ラジオミールには「ラジオミールベース」という、ブラックシールと同じキャラクターを持つモデルが登場しているため、ブラックシールならではの特徴は強いものではなくなるといえます。
ですから、ブラックシールにはそのような不利な状況があったわけで、「デビュー時だけ注目度が高かったモデル」となっても不思議ではなかったのです。
けれども、ブラックシールは2004年のデビューから最近までの間、パネライの人気モデルというポジションをキープし続けていたように思うのです。
その理由こそ高めな中古水準だといえるのですが、これまでブラックシールは同世代の他モデルと比較して高い水準ということが多く、値動きも2012年から2018年まで上昇傾向となっていました。
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オフィチーネパネライラジオミールブラックシールPAM00183の価格比較
時計名 | 状態 | 2018年11月の安値(楽天) | 期間 | 2020年2月の安値(楽天) | 変動した額 | 残存価額 |
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オフィチーネパネライ ラジオミール ブラックシール PAM00183 |
中古 | ¥419,000 | 1年 3ヶ月 |
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