腕時計投資新聞

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2016年7月24日更新

かつてレア物とされた、黒文字盤のカルティエ『パシャC』

パシャに対するパシャCは、タンクに対するタンクフランセーズと同じ要素。つまり、パシャCタンクフランセーズより若々しくカジュアルな役割が求められる時計です。

パシャCが出たのは1995年で、タンクフランセーズのほうはその翌年1996に登場しました。

パシャCは長らく「男女兼用」という表記が採用されていましたが、現在となっては完全に「女性モノ化した」と言ってもよいかもしれません。

公式ホームページを見る限り、現在のパシャ「レディース」カテゴリにしかありません。

ただ、そこで「パシャドゥカルティエ」としてラインナップされているのはこのパシャCよりより小さいサイズのパシャ

2009年に完全女性物として登場したミスパシャそのものです。

どうやらパシャCは生産終了となった模様。

ただ、公式ホームページには掲載がありませんが、正規店のショーケースにはまだあったりするので真相は不明です。

このパシャC黒文字盤、今ではびっくりすることかもしれませんが、高級腕時計ブームが起こった頃「レア物」とされてありがたがられたことがあったのです。

当然その時、この黒文字盤パシャCの扱いは男性用

レア物の黒文字盤入荷しました!なんていうキャッチコピーが平気であったのです。

当時のパシャCの定価は35万円

主要時計店での新品価格もそれとほぼ同様で、正規も平行も値段があまり変わらない腕時計でした。

で、当時の中古相場は20万円台後半

それが20万円になり、18万円になり、徐々に安くなっていき、リーマンショック後は15万円以下という相場まで下がります。

しかし、リーマンショック時に同じように値下がりした時計が昨今値上がりしているのに対して、パシャCだけはリーマンショック価格のまま。

ただ、近年の10万円クラスの時計に見られる傾向同様、程度の悪いものが多々あり、程度が良いものと悪いものとでは評価に若干の差があります。

上にあるモノは程度が良い個体で15万円ほど、下記のモノは程度がそんなに良くない状態で12万円台

日本ではもう「女性物」という扱いになったパシャCですが、おそらくタイではまだまだ男性用扱いの模様。



ロレックスと並べるというこの発想、15年前の日本でも当たり前でした。

かつて筆者はオメガシーマスターを所有している時にこのパシャCが羨ましく見えたこともありますが、今となってはシーマスターと同様の相場となったパシャC

世界のどこかでパシャC人気が出たらいきなり高くなったりするのでしょう。

そんなことは、今の常識ではありえないと思うこと。

しかし、そういうことがある日突然起こるのが腕時計投資の面白い点

特に上記のタイの写真が物語るように、そのあたりでパシャCブームが起こってもおかしくはありません。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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