この3800/1A-001という存在は、1996年頃に登場したモデルで、3800/1Aとしては最も新しい文字盤だといえるでしょう。
ただ、その一方で、なぜか型番は「3800/1A-001」。青文字盤はもちろん、白文字盤よりも新しい文字盤バリエーションであるにも関わらず「-001」なのです。
そうなった理由は、この文字盤を示す枝番リファレンスがこの黒文字盤が出た時期と同じだったからというのが1つの理由でしょう。
また、90年代後半という時代において、ノーチラスは「新しさ」を演出しようとしていたこともあり、3710/1A含め、黒文字盤をメインカラーにしたのだと思います。
ですから、2000年前後といった時代にノーチラスを買おうと思ったならば、「黒文字盤」という選択肢が最もオーソドックスだったわけです。
ちなみに、90年代後半からパテックフィリップのカレンダーフォントが、太めのゴシック体になりましたが、この要素が3800/1Aとしては最終世代の象徴だといえます。
実際、最終世代はバックル部分が観音開きになるといった変化もあるわけですが、それ以前のノーチラスと比べて、何かと“新しさ”を感じられる要素が散りばめられています。
もっとも、今となってはこの世代が現行だった時代からすでに20年ほどが経過しているわけで、「新しい」という感覚はないかもしれません。
そして、今となっては「黒文字盤」に対する印象も変わっているわけで、逆にレアとなっているのが面白いといえます。
もっとも、この3800/1Aの評価において「黒文字盤」が抜きん出て高いといった傾向はこれまでなかったため、この400万円台後半という現在水準は「黒文字盤」への評価というよりも、3800/1Aが高くなったと考えて差し支えがないといえるでしょう。
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