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2021年5月7日更新

阿部泰治のパテック論 ~第58回~ アクアノート「Ref.5060J-001」「Ref.5065A-001」ノーチラス「Ref.3710/1A-001」

みなさん、こんにちは。

せっかくのGWではありますが、東京都は緊急事態宣言が出されており、もちろん銀座も例年のような盛り上がりはなく、なんだか寂しい風景となっております。

私たちにできることは、1本でも多くお客様に魅力的な時計をお届けすることだけですので、日々しっかりと努めて参ります。

さて、本日はアクアノートで比較的初期個体にあたる、探すと少ない18KYG(イエローゴールド)モデル、一世代前の最近価格が上がっている人気モデル、コミット初入荷となる、ノーチラスで文字盤デザインがユニークなモデルの3本をご紹介したいと思います。

阿部泰治のパテック論、是非最後までお付き合いください。

「Ref.5060J-001アクアノート 18KYG

このモデルを実際に手にし、まじまじと見たのはコミットを始めてからです。正直に初めてこのモデルを見たとき、ノーチラス?と思ってしまったのですが、同じように思われた方も少なくはないのではないでしょうか。

それもそのはず。
実は文字盤だけを見ると、ノーチラス「Ref.3800/1A-001」と非常に似たデザインなのです。

ケースサイズ「34mm」は、今となってはやや小ぶりではありますが、18KYG(イエローゴールド)のケースに光沢感のある黒の文字盤が目を惹きますね。文字盤インデックスと針には、夜光が入っているので、視認性も良いモデルです。

そして、なによりもこの時計を見て魅力を感じるポイントは、今から約25年ほど前に製造された個体にも関わらず、エッジが綺麗に立っており、ケースコンディションが抜群に良い点です。ゴールド(金無垢)の時計は、仕上げ(ポリッシュ)がされている事が多いのですが、この時計はほとんどポリッシュがされていないのがひと目で分かります。

バックルは、時計のサイズに良い意味で似つかわしい、大きめのフォールディングバックルが付いており、とてもインパクトがあります。

保証書に印字されている4桁のアルファベットを読み解くと、1997年10月に製造された時計であると分かります。ショップ印を見るとシンガポールに本拠地を置く、知る人ぞ知るCORTINA(コルティナ)で販売がされているのも分かりますね。

気になる販売価格ですが、4,598,000円(税込)

なかなか探すと見つからない時計で、ここまでケースがしっかりしている個体も少ないと思います。

 「Ref.5065A-001アクアノート SS

続いてご紹介するのは、初代アクアノート「Ref.5060A」の翌年に発表された、アクアノート・ラージサイズのトロピカルバンド仕様です。

ラージサイズと呼ばれていますが、ケース径は「38mm」と、今となってはやや小ぶりのサイズ感です。文字盤のエンボス加工は、初代アクアノートよりは控えめとはなったものの、現行モデルのアクアノートと比較すると、はっきりとした文字盤デザインであると思います。

裏蓋がクローズドバックからスケルトンバックへと変わり、ムーブメント「Cal.315 SC」を眺める事が出来ます。

過去にポリッシュは入っていると思われますが、ケース・ベゼルは比較的しっかりとしていると思います。

追加でSS(ステンレススチール)のブレスレットが付属しているのも嬉しいポイントですね。このブレスレットが無骨で、男らしく、良い意味で【パテックフィリップ】らしくない、私の好きなポイントでもあります。(笑)
また、保証書を見ると2006年6月に【パテックフィリップ】のジュネーブ・サロンで販売されているのが分かります。

痛みはありますが、当時のオリジナルの箱も付いてます。

気になる販売価格ですが、4,895,000円(税込)

最近は、アクアノートの価格も高値で安定していると思います。通常は1種類しかブレスレットは付きませんので、SS(ステンレススチール)ブレスレットが付属している点は、かなりオススメであります。

「Ref.3710/1A-001ノーチラス SS

最後にご紹介するおは、1990年代後半~2000年代中頃まで製造されていたジャンボサイズのノーチラスです。

特徴として挙げられる点は、一目瞭然。その独特な文字盤のデザインです。

ノーチラスの代名詞であるエンボス加工がなく、マット調の黒文字盤に、夜光入りでWG(ホワイトゴールド)のアップライド・ローマンインデックスの仕様は、いつ見ても新鮮です。そしてこのモデルの一番のポイントは、コメット(彗星)とも言われている、パワーリザーブ表示ではないでしょうか。こちらがなんとも言えず、カワイイですね(笑)

軽いポリッシュは、過去に入っていると思われますが、ケース・ベゼルはしっかりとしており印象は良いです。

裏蓋はスケルトンバックではありませんが、ブレスレットの伸びもほとんど感じられない、良個体ですね。

この年代はどうしても痛みが出てしまうのが残念ではありますが、時計と整合性が取れている箱も付属しております。保証書も付いており、コレクションピースにも最適です。

気になる販売価格ですが、8,998,000円(税込)

なかなか市場でも見かけない希少モデルで、ケース・ブレスレットもしっかりしており、付属品も付いているオススメの時計です。また、ご存じの通りノーチラスのモデル全般で価格が高騰しております。なかなか出会えない時計ですのでお探しの方には特にオススメいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここ最近は、以前に比べ【パテックフィリップ】の取り扱いも増え、私自身もより楽しく仕事に取り組ませていただいております。

今回、時計屋歴が20年を超えても尚、取り扱ったことがないモデルがたくさんあるなぁと、改めてしみじみと感じました。まだまだ【パテックフィリップ】を語るには勉強が必要ですね。(笑)

今後もさらに詳しくなるべく、しっかりと精進してまいりますので、どしどしお問い合わせもください。

ではまた!

●この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。

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