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現在相場考察

1999年頃の新品相場を上回った、エクスプローラー14270

2021年6月6日更新
ロレックスのエクスプローラー14270について斉藤由貴生が執筆。本記事では2020年11月の安値と2021年6月の安値を比較し現在相場を考察。この7ヶ月での変動は9万6200円の値上がりだった。

エクスプローラー 14270についての考察(2021年6月)

「高級腕時計がプレミア価格になる」ということを世の中に知らしめたのが、このエクスプローラー14270だといえます。

この14270は、SSスポーツモデルの中で、最も廉価なモデルだったといえるわけですが、90年代後半といった時代の価格序列はデイトナの次」というポジション。今でいう、緑サブのような感覚だったといえます。

なぜ、そんなにも高かったのかというと、「人気ドラマでキムタクがエクスプローラーをつけていた」ということがきっかけだったわけですが、こういったことはいかにも90年代らしいといえるでしょう。

この14270は、2001年に114270にバトンを渡しましたが、現行時代の新品実勢価格が最も高かったと感じられたのが1999年の相場だと思います。

当時、14270の定価は税別34万円程度だったのですが、1999年の新品実勢価格は60万円程度に達していました。その時、筆者は14270を「すごく高い」と思ったことを覚えています。

けれども、エクスプローラーは2000年代中盤頃から、SSスポーツの中で「高いほう」というわけではなくなります。

そして、14270のリーマンショック後の中古相場は、20万円台前半にまで下落。その際、約21万円といった価格帯で入手可能だったわけですが、90年代後半当時の相場を知っている筆者としては「かなり安い」と感じられる水準でした。

ただ、このリーマンショック後という時代には、14270に限らず、多くの人気モデルがかなりな下落となっていたわけですから、14270だけが特別安いというわけではありません。

しかし、2013年以降という時代になると、14270「他のSSスポーツと比べて安い」という感覚になっていき、あまり相場も変化しないという傾向が続いていたのです。

実際、2017年まで14270は長らく30万円台に位置。2017年11月に40万円以上となったものの、それもまた長きに渡って40万円台が続くということになっていました。

40万円台に終止符を打ったのは、2019年5月になってからのことであるため、『40万円台⇒50万円台』には1年半という期間を要したということになります。

そして、『50万円台⇒60万円台』となったのも、同じく1年半がかかったわけですが、この間には断続的な下落トレンドが含まれるため、2017年⇒2019年ほど「動かない」という感覚がありませんでした。

まして、中古相場が60万円台ということは、「1999年頃の新品実勢価格と同じ価格帯に到達」ということですから、約22年を経て、ようやく「高かった頃の新品相場に後の中古相場が回復」という状態になったといえます。

さて、そんなエクスプローラー14270ですが、2020年11月に「60万円台になった」と驚いてから、7ヶ月後の今、再び価格ステージが変わったという状況になっています。

現在、14270のボトム価格は71万円。つまり、70万円台になったわけで、7ヶ月で『60万円台⇒70万円台』という変化をしたということになります。

これまで、価格ステージの変化には、1年半といった期間を要していたわけですから、かなり短い期間での変化だといえるでしょう。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2020年11月
の安値
2021年6月
の安値
変動額 残価率
ロレックス
エクスプローラー
14270
中古 0年
7ヶ月
¥613,800 ¥710,000 96,200 115.67%

このことによって、14270は、1999年の新品実勢価格を10万円ほど上回ったということになるわけですが、これでようやく「かなり高い時期に買ったとしても、その後値上がり」ということになります。

もちろん「その後」といっても、1999年は22年前。つまり、1999年の新品実勢価格を“大きく上回る”まで22年かかったわけですが、それでもかつてのプレミア価格を超えたというのは凄いと思います。

なお、70万円台という水準については、14270よりも先に114270が到達しているわけですが、114270の新品実勢価格は、デビュー間近でも40万円台。実際、2002年6月の新品実勢価格は税別40.5万円でした。

ですから、「かつての新品実勢価格を上回る」という観点では、11427050万円台になった時点ですでに達成していたということになるわけです。

それに対して、この14270は、70万円台という水準になった今、ようやくそれを達成できたということになるわけですから、「感慨深い」という気持ちが強くなります。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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