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裏スケの3796、パテック フィリップ『カラトラバ』3796S

この時計、いくつか難しい点が存在。

通常、パテックフィリップのリファレンス末尾のアルファベットってケース素材を表し、ホワイトゴールドだったら「G」なのですがこのモデルは「S」

さらに同じく3796Sでも、白文字盤+YGケースも存在します。

このサーモンピンクにWGのほうは3796として独特の配色なため日本限定として認識しやすいですが、YGのほうは普通の3796とあまり差がありません

では何が一番の差なのか、それは“裏スケ仕様”なのです。

手巻きのカラトラバ、しかも3796で裏スケって非常にレア。

多くの時計ファンから人気のあるキャリバー215が眺められるなんて良いですね。

しかも、これぐらい小ぶりなケースであれば裏蓋がガラス製でもベタッとしなさそう。

裏スケって人気機能ですし、ムーブメントが見れるという機械式腕時計だからこそ搭載すべき機能でもあるのですが、つけ心地に影響するのが難点なのです。

ガラス製の裏蓋は、特に夏の時期、汗とかかいたら肌にベタっと張り付くのです。

けれども31mmぐらいであればベタッとするのも軽減されそう。

もう1つ疑問点は96年限定モデルなのか、97年限定モデルなのかという点。96年という表記と97年という表記が混在しています。

で、調べてみると96年に保証書印が押されている3769SのWGを発見。

1996年で間違いなさそうです。

この100本限定の3796、なぜ1996年に作られたかというと、多分96だからでしょう。

96年にクンロクの限定モデルを出す、しかも100本。

なぜ96本限定にしなかったのでしょうかと疑問に思ってしまうこのモデル、企画したのは当時の日本代理店だと思われます。

過去相場のほうは、日本限定モデルとしては非常に高い相場という印象。

2009年の相場なんて金無垢ノーチラス3800/1J)より高いのではないでしょうか。

他の日本限定は、たとえ、

 

  • 世界的人気のあるアクアノート
  • その青文字盤
  • しかもベルトまで青

 

という超レア仕様の5066Aを含めて100万円以下という安い水準が当たり前。

にも関わらず、裏スケ3796は非常に評価されていたのです。

そんな3796、2009年から値下がりしていますが、理解できるという印象です。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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