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1年しか製造されていない初期モデルは安め、パテックフィリップ『アクアノート』5060A

元祖+短命という内容はロレックスであれば、値段が高くなる要素そのもの。

例えば短命のエクスプローラ2、16550はかなりの高値。シングルロック+5桁リファレンス時代の16570と似たようなデザインという内容は、アンティークというよりちょっと古めの近代的なモデルといった印象で、本来どちらかというと不人気となりそうな時計なはずなのですが高値なのです。つまり、ロレックスの場合は希少性そのものが1つの価値と認識されるということ。

それに対して、アクアノートの元祖かつ1年しか製造されていない5060は、アクアノートの自動巻モデルの中で最安という水準です。

2000年代前半であれば、アクアノート自体が人気のあるモデルではなかったため、5060がアクアノートの中で安めというのも納得できます。

しかし、現在ではアクアノートノーチラスと並んで世界的に人気かつ憧れられる対象の腕時計

そしてその元祖となれば、5066よりも高く評価されて良いだろうに安値なのです。

最近のアクアノートの相場は、5065/1A200万円近いという相場の印象から、どれもそれぐらいするという感覚ですが、この5060Aなら120万円台で購入可能。

アクアノートの相場変遷は、

  • 2000年代前半=100万円以下
  • 2000年代後半=100万円台後半
  • 2010年代前半=100万円台前半
  • 近年=100万円台後半
  • という感覚なのですが、5060Aの相場を見ると上記とはだいぶずれていることがわかります。

    前ページの相場の通り、過去から現在にかけてかなりの値上がりをしたとはいえ、2009年の60万円台という安値はかなりのびっくり価格。

    アクアノートが60万円台というのは2000年代前半で終わったことかと思いきや、そのチャンスの“2度目”が存在していたのです。

    よって、60万円台でアクアノートが買えるなら買っておけば良かったと、当時の相場を見過ごしていたことを後悔するのと同時に、まだまだ安いとも感じるのです。

    つまり、約60万円近い値上がり額は確かにすごい額ですが、アクアノートという時計の知名度とイメージ、そして元祖+短命という内容はロレックスであれば当然値上がりする要素なはず。

    よって、パテックフィリップにもロレックスと同様の文化が持ち込まれることは容易に想像でき、この5060Aが将来的に「希少なモデル」として多くの人が価値を感じる日が来るのではないかと考えています。

    ●この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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