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ロイヤルオークデュアルタイム25730ST、複雑ステンレススポーツの先駆者的存在

このロイヤルオークデュアルタイムが登場したのは1990年のこと。

左右非対称デザインといえば、先程のノーチラス5712やオーバーシーズのデュアルタイムがあり、三雲スポーツウォッチの定番デザインとなっていますが、もともとはこのモデルが最初です。

また、このデュアルタイムの機能、オーバーシーズパシャ38mmでも見かける仕掛けですが、最初にこれを実装したのがオーデマピゲなのです。

そして、それをステンレスのスポーツウォッチであるロイヤルオークに最初に搭載したという点。

それは、90年代におけるパテックフィリップオーデマピゲスポーツウォッチに対する考え方の違いを表していると思います。

というのも、オーデマピゲは前途のように1980年代前半に永久カレンダーをロイヤルオークに搭載し、さらにそれはステンレススチール製という当時の常識としてはエポックメイキングなことを実施。

2000年代前半まで、高価格帯のモデルにステンレスは邪道という風潮がありましたが、今はノーチラス年次カレンダーのステンレスモデルが人気なようにステンレスの高価格帯モデルが受け入れられています。

今でこそ常識となったステンレススポーツの高価格帯モデルですが、なんとオーデマピゲは1980年代前半ですでにそれを行っていたのです。

これはかなりな先駆者ですし、志高い思想がなければこんな前代未聞なことはやらないでしょう。

よって、オーデマピゲロイヤルオークという時計に対する思いはかなり強いものがあると思います。

ちなみに、ロイヤルオークオフショアのほうも、90年代前半で41mmというサイズを展開するなど、パネライをきっかけとするデカアツブームの10年以上前からある先駆者です。

デュアルタイム時計先駆者のこのロイヤルオークオーバーシーズのデュアルタイムと違うのは、第二時刻を表示するインダイヤルに時針だけでなく分針も付いている点

メインの分針と連動して動く小さな分針があるというのは非常にぐっと来ますし、日本対インドのように30分単位の時差にも便利な機能です。

このロイヤルオークのデュアルタイム、一見すると他の時計と大きな差が無いようにも思えますが、実はかなり凝ったモデルなのです。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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