90年代において、ブルガリは腕時計にかなり力を入れていたといえます。
また、当時のユーザーもそういったブルガリの腕時計を受け入れており、それまでのメジャーなブランドよりも「オシャレ」な存在、もしくは「通な選択肢」として重宝していたように思います。
そんなブルガリは、90年代当時、他のブランドがやらないことを積極的に行っていたのですが、その最たる例が「廉価版の展開」でしょう。
当時のブルガリの立ち位置は、ロレックスのライバルともいえる状態(定価も実勢価格も)だったのですが、そういった立ち位置のブランドがあえて、廉価版を出すというのは大きな衝撃だったといえます。
廉価版といっても、ロレックスのエアキング(スポーツモデルになる前)、現在のオイスターパーペチュアルのような存在ではなく、「もっと廉価」なモデルであります。
当時は、メルセデス・ベンツがAクラスやスマートを発表するなど、上級ブランドによる「廉価版」というものが腕時計以外でもありましたが、いずれもすごい話題となったことに違いありません。
さて、ブルガリが廉価版として最初に投入したのは1997年に発表したソロテンポ。翌年1998年には、アルミニウムを発表したのですが、そちらはスポーツモデル、なおかつ高級腕時計としては珍しいアルミニウム製ということもあって、発売当初、正規店で入手困難となっていたほどでした。
2000年頃の相場(新品実勢価格)は、アルミニウムのメンズ機械式モデルが15万円程度、ソロテンポのブレスレットモデルは12万円程度だったと記憶していますが、新品時にそういった価格で流通していたため、後の中古相場はどちらも10万円未満となっていました。
特に、ソロテンポは「非・スポーツモデル」ということもあり、長年5万円前後で購入可能な選択肢といったところだったといえます。
しかしながら、そんなソロテンポは2023年1月に大きく上昇。それまで続いていた5万円前後という状態から脱却し、約8万9000円がボトム価格(ABランク以上)となったのです。
そして今、ソロテンポのST35Sはさらに上昇している様子があります。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2023年1月 の安値 |
2025年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ブルガリ
ソロテンポ ST35S 黒文字盤 ブレスレット |
中古 | 2年 0ヶ月 |
¥89,990 | ¥109,800 | 19,810 | 122.01% |
現在、ST35S黒文字盤のブレスレットモデルは、なんと約10万円となっているのですが、ソロテンポの中古相場が10万円超えとなるのは初めてだといえます。
ちなみに、現在10万円超えとなっているのは、1997年デビューの初代モデル。
後のモデルとしてケースサイズが更に大きいST37Sや、ST35Sの新しい文字盤が出ていますが、それら新しい世代は今でも10万円未満となっています。
なお、1997年デビューの際に出たモデルには、黒文字盤と白文字盤がありますが、ブレスレットモデルはいずれも現在10万円超えとなっている様子です。
ソロテンポが10万円超えとなったのは、大きな驚きですが、評価されているのが1997年デビューの初期モデルというのは、やはり「90年代ブルガリは良かった」ということなのだと思います。