2005年前後という時期を境目に、ノーチラスのラインナップは大きく変化。バリエーションが多く展開され、コンプリケーションもいくつも展開されるようになったといえます。
最初のコンプリケーションモデルは、2005年登場の3712/1Aですが、翌年2006年にはクロノグラフが登場。その際、登場したのは5980/1A-001ですが、この5980/1A系は、長らく「最も高いノーチラス」といった相場になっていたといえます。
他のノーチラスのコンプリケーションモデルとしては、年次カレンダーや、この5980の後継ともいえる5990があるのですが、クロノグラフは特に高いといった印象があるといえます。
ちなみに、一時3針の5711/1Aに対する人気度が高まった時期に、年次カレンダーよりも高値といった事がありましたが、そういった時期において5980/1A系は、5711/1Aよりも頭一つ高いといった相場を維持していました。
しかし今、そういったノーチラスの相場には変化が生じている様子。
現在、この5980/1A-001は約1472万円となっているのですが、これは5711/1A-001の約1480万円よりも若干安値といった状態であります。
長らく5980/1A系は、5711/1Aなどよりも頭一つ高い、といった状態だったわけですが、2025年の今、そういったことが覆されてしまっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2023年4月 の安値 |
2025年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 5980/1A-001 |
中古 | 2年 0ヶ月 |
¥16,809,600 | ¥14,729,000 | -2,080,600 | 87.62% |
また、興味深いのは、『現在1500万円程度といった予算があったならば、おおよそどのタイプのノーチラスも選び放題』といった点です。
年次カレンダーでは5726/1A-001が約1522万円、2ピース構造で裏スケという希少性がある5980/1A-001も1498万円といった状態。
5711/1A-001といった3針や、このクロノグラフの5980/1A-001など、これまでは「差があってあたり前」といった状態だったノーチラスの数々が、1500万円程度という額で購入可能となっているのです。
特に、この5980/1A-001については、長年5711/1Aに対して圧倒的に高いといった水準となっており、2019年5月時点で1000万円超えという水準に達したほど。
5711/1A-001などが1000万円超えとなったのは2021年になってからですが、この5980/1A-001については2019年5月時点で1180万円という水準に達していたのです。
ですから、5980/1A-001は長年「5711/1Aよりも高い」というのが当たり前だったわけで、それが5711/1Aと同水準となっているというのは、衝撃的な出来事だといえます。