この時計には謎が幾つかあります。
使い方もわかりませんし、静止画を見ているとどのような動きをするのかも不明です。
表の文字盤は通常のレベルソと同様、2針+スモセコというオーソドックスなものですが、裏蓋をひっくり返した先にある60分計。
この60分計の使い方は非常にユニークで、竜頭下にある大きなボタンを押すと針が60の位置にフライバックするのです。
この時計、一見するとクロノグラフのようですが、あくまで60分までを積算するという機能に絞っています。
クロノグラフにあるリセットボタンは存在せず、60分までの時間を測りたい場合にのみボタンを押せば良いという仕掛けになっています。
つまり、どのような状況でも裏にある文字盤では常にひっそりと針が1分ごとに進んでいるのです。
そして、時間を測りたいときにボタンを押すと60の位置に針が戻り、再度勝手に1分ごとに進んでいき何分経ったかを測ることができるという機能なのです。
クロノグラフを持っていてもあまり使わないように、このメモリーの機能もあまり使わなそうですが、これだけシンプルだとカップラメーンの出来上がりを待つ3分間を測るなんて用途に便利そうだと思います。
とはいえ、このような腕時計において重要なのは機能というより、そういうメカニズムを秘めた存在であるということが所有満足感として重要なのです。
まして、このように他の時計には無い機能を備えているレベルソメモリーは唯一無二の存在であることは間違いありません。
それに加えて、伝統的なレベルソのサイズ+複雑機構という内容かつ、かなり短い生産年数。
これまでこの時計、20万円台という相場が当たり前でしたが、これだけ濃い内容であるが故に今後も相場の動きが楽しみな腕時計です。
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