第一次腕時計ブームの際、それまで20万円台で売られていたロレックスが100万円以上になったというような出来事は、大きなニュースとなってより腕時計人気を盛り上げる効果を生み出していたと思います。
しかしその際、値上がりしたロレックスを買うという行為は勿体無いとも思え、ロレックスを避ける人が多かったという事情も存在します。
実際、ロレックスを否定的に捉える意見は雑誌などでも確認することができ、例えば99年7月1日号のブルータスでは表紙を見て分かるように「ロレックスが一番と思っていませんか?」と言っています。
けれども、その表紙に記載されている赤サブなどの価格は、“もしも買っていたらならば、現在膨大な利益を生み出すほど”安かったわけで、実は「ロレックスが一番だと思っていて良かった」ということを証明する出来事です。
ですから、第一次腕時計ブームの2000年前後において、素直にロレックスを買っておけば、なにかとお得な体験ができたということになります。
ただ、ロレックスを避けるという風潮は確かにあったため、ロレックス以外の選択肢としてオメガを買ったという人が多々存在。
そしてそれらユーザーの選択肢として重宝されたのが、オメガのスピードマスタープロフェッショナルでしょう。
スピードマスターはムーンウォッチといわれるようにNASA公式として月まで行ったというストーリーがあるだけでなく、その腕時計づくりもかなり真面目なため、当時新品約16万円だった腕時計としては異例なほど高い品質です。
中身のパーツも肉厚な金属が使われており、かなり壊れづらいチューンが施されているようで、トラブルが少ない時計としても有名。
そのため、価格を見るとかなり「コスパが良い」高級腕時計だという評価になるのは自然なこと。
しかし、そのような時計は世界基準において人気が出るかどうかは別。そのため、当時ロレックスを買っていれば値上がりしたのに、オメガを買ったがために値下がりともなっていても不思議ではありません。
そうすると、売ることを前提とするならばロレックスのほうが結果的には得となります。
しかし値上がりの天使は、実はオメガを買った人にも味方だったのです。
これだけ数の多いスピードマスタープロフェッショナルは、なんと当時の新品価格より今の中古価格のほうが10万円以上も高い水準となっています。
オメガスピードマスター3570.50の価格比較
時計名 | 状態 | 2001年8月の新品実勢価格(2社平均値) | 期間 | 2017年8月の安値(楽天) | 変動した額 | 残存価額 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ スピードマスター 3570.50 |
新品 | ¥169,470 | 16年 0ヶ月 |
¥285,120 | 115,650 | 168.24% |