腕時計投資新聞

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2016年5月28日更新

安定した価格、グランドセイコー

同じブランドにおいて1万円台の時計から数百万円の時計を販売することはヨーロッパでは無いと思います。

ロレックスカルティエも数十万から数千万という価格の開きはあるので、問題は“価格の開き”ではなくて最低価格

つまり、ヨーロッパの常識で言えば、最低価格は安くても10万円台でなくてはなりません。

さてそんな常識に反している3つのブランド。

全く海外で受け入れられていないか、というとそんなことはありません。

特に成功しているのはグランドセイコー

インスタグラムを見ても、欧米圏らしきユーザーがスイス高級時計とともにグランドセイコーをアップしている様子があります。



また、3ブランドの中でセイコーが最も高価格帯の時計をラインナップしています。

しかし、ラインナップ数が多すぎて、どれがどれかわかりません。

もっとラインナップが少なければ、どれがどれか分かりやすく、結果として高値になりやすいグランドセイコーの価値が上がると思うのです。

多分セイコーの技術、スイス時計よりも優れている点が多いのでしょう。

ただ、せっかく中身が良くてもブランド力が弱いのがもったいない!

90年代にスティーブ・ジョブスがアップルに復帰した際、多すぎた商品のラインナップを

【コンシューマー向け(廉価)】

  • デスクトップ(iMac)
  • ノートブック(iBook)
  • 【プロ向け(高級)】

  • デスクトップ(PowerMac)
  • ノートブック(PowerBook)
  • という4つに整理しました。

    コレと同じようにヨーロッパの時計メーカーは、

    ロレックスもパネライもフランクミュラーもラインナップがすごく分かりやすいのです。

    だからこそ、中身が良くて欧米圏でも時計コレクションの中に入りつつあるグランドセイコー、ブランディングを強化すればもっと良くなると思います!

    近年、サントリーのウイスキーが世界的に評価されて高値でも売れています。

    サントリーのウイスキーも、「山崎」「響」のいずれかに絞られ、あとは10年17年といった年数によるグレードの差。つまり、ラインナップがシンプルで分かりやすいのです。

    銀座和光というような、販売部門のブランディングは日本国内においてできているセイコー

    「日本製高級腕時計」を世界中で、高級腕時計を選ぶ際に“当たり前”に迷われる選択肢となることを望みます。

    ●この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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