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高くなっても驚くに値しない、ロレックスエクスプローラー1016

かつて相対的に高かった1016の現在の値動きは、他のロレックスと比較しても大きな差があるわけでもありません。

特に、デイトナ16520の2017年における値動きを考慮しても、やはり地味に感じると思います。

なぜ、かつて高かった1016が比較的地味な値動きとなっているのかというと、それは1016の評価が難しいからだと思います。

1016自体の人気度は今でも高いと感じ、相変わらず魅力的な時計だと思います。

また、80年代で生産が終了しているため、1999年よりも生産終了から時間が経っており、希少度は更に高まっているとも感じます。

にもかかわらず、評価が難しいのはなぜかというと、1016は条件によって相場が異なるため、一概に評価できない点があるからです。

得に重要なのは、ロレックスでのメンテナンス履歴の有無。

これは1016に限らず「アンティーク」と呼ばれる4桁スポーツモデルには共通しています。

また、1016には様々な年式がありそれぞれ相場が大きく異なります。

これはデイトナ16520にもある現象で、特に最終年式のP番が高い傾向ですが、P番は16520の中でも数が少なく特殊な存在だといえます。

ただ、デイトナの場合は「P番かそれ以外か」といった判断をすることができるため、相場観がつかみやすいといえます。ちなみに、200タキメーターなどP番以外の高値要素が多々ありますが、それらもP番と同様の区別が可能です。

それに対して、1016はそういった傾向はなく、16520よりも、1つずつ条件が違うという傾向が強い印象。

ですから、相場観が5桁以降のモデルと比べて掴みづらいですし、いざ1016を購入しようと思っても、どれを選べば良いのか分かりづらいといえます。

そのため、以前から記事では同じ条件の個体を比較。そして、そういった条件でも、1016はしっかり値上がり傾向となっているのですが、それでもかつての様子からするとインパクトは弱いといえるのです。

また赤サブなど、1016と同じようにメンテナンス履歴の有無が重要になるアンティークモデルは、1016よりずいぶん高いという点も気になります。

赤サブは、1016と同じ1999年の段階で46万円という水準でした。

1999年の段階では赤サブのほうが、エクスプローラー1016より半値近く安かったにもかかわらず、今となっては1016よりずいぶん高いのです。

そうすると、1016は値上がり傾向でも過去事例を考慮するとお買い得感を感じるため、今の時代においてはなかなか良い選択といえるかもしれません。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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