4桁リファレンス時代のロレックスにおいて、ロレックス正規メンテナンスを受けているということは高値の要素の1つとなります。
理由は簡単で、正規メンテナンスこそ「本物である」という証明になるからです。
パテックフィリップとは違い、ロレックスの場合、一定の年数をすぎるとたとえ本物だとしてもメンテナンスを受け付けてくれなくなるため、正規メンテナンス証明のあるロレックスは希少。
一方、正規メンテナンスをすると当時のオリジナル性が失われるという問題も発生します。
例えば、風防がその最たる例で、ヴィンテージな雰囲気のドーム型プラスチック風防をカクカクとしたモノに変えられてしまっては、だいぶ印象が異なるということになるでしょう。
よって、ものによっては正規メンテナンスでバッチリ整備された状態が良い場合もあれば、オリジナルコンディションを維持しているほうが良いという場合もあるのです。
そしてこの記事のデイトナ6265の特徴は「ワンオーナー」であるということ。
「ワンオーナー」というのは車だと価値ある要素の1つとして定番のワンオーナーですが、時計でワンオーナーというのはあまり聞かない要素です。
実際、新品で買った時計を売る際にも「ワンオーナー」であるということは評価されないでしょう。
つまり、通常は腕時計におけるワンオーナーというのはあまり需要のない要素なのです。
しかし、この6265に関してワンオーナーというのはかなり響く要素。
正規メンテナンス済みというのは「素性がはっきりとしている」ということの1つですが、このようにワンオーナーというのもそれに匹敵することだと思います。
6265は古いロレックスというだけでなく、長い生産年数や時期における細かい仕様違いが多々ある時計。
まして、新品で売られていた当時は、定価も安く特に人気であるという時計でもないため、今のように「超高級品」という認識で買われた時計ではなかったのです。
今となっては、パテックフィリップのグランドコンプリケーションに相当するほど高価な時計ですが、新品当時にグランドコンプリケーションを買う気持ちでこの6265を買った人はいないでしょう。
確かに当時としても高い時計であったことに間違いはないでしょうが、グランドコンプリケーションほどではありません。
しかし今となってはグランドコンプリケーションレベル。
グランドコンプリケーションのパテックフィリップを買う場合、お金がある人でも買うときに気合が入るでしょうし、その後も「グランドコンプリケーション」として大事に扱うはず。
それに対して6265は、そのように扱われてこなかった個体が多いと予測できるだけに、素性のはっきりしているワンオーナー品はかなり希少だといえるでしょう。
ちなみに、過去相場と比較して約260万円の値上がりですが、この時計、年を追うごとに高くなっていくだけに、今後どうなるか楽しみです。
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