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レトログラードに振った個性、ピエールクンツPKA001SR

頭文字の“P”と“K”を合わせたロゴの形状・フォントもフランクミュラーに似せたものとなっており、ウォッチランドのブランドであるというイメージの統一がなされています。

天才時計師フランクミュラー、というブランディングである本家フランクミュラーは、「トゥールビヨン」を腕時計に初採用という試みや「ヴェガス」などの変わり種時計のラインナップ展開で、一味ちがった時計という世界観を提供しています。それに対してピエールクンツは「レトログラードメイン」というブランディング。

本家フランクミュラーに対して「レトログラード」のみの一本化したというのは非常に上手いブランディングだと思います。

で、その戦略通り、デビュー当時から時計雑誌の取扱も、並行時計販売店、デパートなどの正規店での扱いも大きかった訳です。

で、2016年のピエールクンツはどうでしょうか。

デビュー時の存在感と比べると、かなり地味になった気がします。というかこのブランドの存在を忘れている人も多いのでは?

で、当時100万円ぐらいが新品実売価格だった、オーソドックスなレトログラードは現在69万8000円。

69万8000円というと、昔はちょっとワンランク上の時計が買える価格。

このピエールクンツがデビューした2003年だとヨットマスターロレジウムの新品やコンキスタドールの新品が買える価格。今だとロレジウムの中古、青サブの中古あたりと同額です。

ちなみに、2014年4月の価格は約46万円。

腕時計が全体的に安かった2011年の価格56万円よりも、時計が全体的に高い2014年のほうが安かったのです。

なお、ピエールクンツあまり買いたいという人はいないようで、取引の数は少ない模様。

実際自分がもっていたとして69万8000円で売れるかは微妙です。

なお、この時計、結構壊れるようで、修理にも要注意。

レトログラードという構造自体、なんだかムーブメントに負荷がかかっていそうな構造なうえに、ピエールクンツフランクミュラーの仕掛けありモデルも)よく壊れるとのこと。

しかも、ピエールクンツフランクミュラーと同様、並行品のメンテナンスを受け付けていないのです。

よって、壊れてしまっては出たかもしれない利益が吹っ飛びます。

ということで、現在ピエールクンツはかなり扱いづらい時計だと思います。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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