5712は2006年に登場したノーチラスのコンプリケーションモデルですが、「ノーチラス初のコンプリケーション」という印象が強い時計です。
2006年はノーチラス登場30周年ということもあり、コンプリケーションが2つデビュー。中でも目立っていたのがパテックフィリップ自社製のクロノグラフムーブメントを搭載した5980です。
ノーチラスは1976年にデビューしてから2005年までの29年間において、コンプリケーションモデルを用意していませんでした。
そのため、2005年に登場した3712/1Aはノーチラス初のコンプリケーションモデルとして注目されたのです。
ノーチラスは2006年にシリーズ自体がリニューアルされたため、その際3712は5172へと変化。
見た目はほぼ同一ですが、2ピース構造だったのが3ピース構造となっています。
ノーチラス初のコンプリケーションモデルという印象が強い5712はデビューした当初より、それまでのノーチラス相場の常識を遥かに上回るほど高いという印象。
実際、パテックフィリップの3針モデルとコンプリケーションモデルとではかなり相場が異なるため、『ノーチラスのプチコン』という存在は高くて当たり前だともいえます。
しかし、もとから高かったということが影響してか、2006年までの値上がり額は低め。
2016年5月における5712/1Aの変動額は、数多くの腕時計が安かった2011年と比べて“57万円”程度しか高くなっていなかったのです。(詳細は2016年5月14日の記事を参照)
そして2017年3月時点ではなんと3針モデルの5711/1Aより安価だったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年5月 の安値(楽天) |
2017年11月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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パテックフィリップ
ノーチラス 5712/1A-001 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥3,550,000 | ¥4,752,000 | 1,202,000 | 133.86% |
5711/1Aはとても人気のあるモデルで、最近飛ぶ鳥を落とす勢いで値上がりしています。
人気度、知名度、値上がりの様子など、その勢いは『腕時計の王様』と称されるステンレスのデイトナを上回るほど。
ですから、3針の5711/1Aがコンプリケーションより高い相場となっても不思議ではありません。
しかし、パテックフィリップにおいて「コンプリケーション」という存在は3針より高いのが常で、そのブランド力は圧倒的なモノがあるのです。
その結果、ノーチラス5712は短期間で値上がり状態となり、2016年5月から1年半ほどの間に約120万円も上昇。
ちなみに、今より120万円安かった2016年5月時点でも約300万円という価格。今の相場と比べると安いものの、当時の印象としては特にお得感を感じるというわけでもありませんでした。
ただ、2016年5月14日記事の最後には「高いと感じてもその時より高くなる現象が起こりうる」と記載。そしてそれから1年半経った今、この時計は随分と高くなったのです。