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現在相場考察

身近になったラジオミールクロノグラフ、パネライPAM00214

2018年7月18日更新
オフィチーネパネライのラジオミールPAM00214について斉藤由貴生が執筆。本記事では2015年6月の安値(ヤフオク)と2018年7月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この3年1ヶ月での変動は20万280円の値下がりだった。

ラジオミール クロノグラフ PAM00214についての考察(2018年7月)

2000年代前半までのラジオミールといえば、パネライにおける高級ラインという役割を担っていました。

通常販売されるモデルには、ゼニス製ムーブメントが搭載され、ケースもPGやWGでした。

そして、クロノグラフモデルとなると、レアな限定モデルしか存在せず、デッドストックムーブメントなどが搭載されるということもあり、希少で高価なモデルという印象がありました。

それが2005年になると、通常モデルにもクロノグラフが登場し、ラジオミールのクロノグラフという存在は、以前ほど雲の上感がなくなりました。

ただ、その際登場した通常ラインナップは、クロノグラフといってもスプリットセコンドという“高そうな”クロノグラフが搭載。

「ラトラパンテ」と名付けられていますが、これは90年代に存在したブルガリのスプリットセコンドクロノグラフにも、採用されていたことがあります。

最近では、IWCブライトリングなどでも「ラトラパンテ」という名称の採用がありますが、2005年当時の印象としては、より高級という印象が強かったように思います。

ブルガリのラトラパンテは、トゥールビヨンなどと同じ「特殊な高級キャラクター」という趣旨を感じられ、とても高価という印象がありました。同じイタリアのブランドであるパネライにも同様の「ラトラパンテ」という名称が採用され、さらに当時高級シリーズという印象が強かったラジオミールへの採用だったこともあり、かなりな高級モデルというキャラクターだったのではないでしょうか。

また、ラジオミールのクロノグラフは、限定モデル時代から「2つ目」の採用が基本となっており、とても格好良いと評判だったように思います。パテックフィリップの5125でおなじみの、WEMPEも2つ目クロノグラフのラジオミール限定モデルを出しているため、やはり人気のデザインという印象になります。

そして、このラジオミールの「ラトラパンテ」PAM00214は、2007年をもって生産終了となっているため、比較的生産年の短いモデルでもあります。

そのためPAM00214は、今なお高い中古相場であるのかと思うところです。

しかし、実はこのモデル、2015年と比較して値下がり傾向であるのです。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2015年6月
の安値(ヤフオク)
2018年7月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オフィチーネパネライ
ラジオミール
クロノグラフ
PAM00214
中古 3年
1ヶ月
¥750,000 ¥549,720 -200,280 73.30%

最近、パネライにおいて値下がり傾向となるモデルが目立つ印象がありますが、それらは近代的なレギュラーモデルいう傾向があり、2000年代前半のモデルや、比較的レアなモデルは、値上がり傾向となっているモノもあります。

このPAM00214というモデルは、

  • スプリットセコンドクロノグラフ搭載
  • 2005年デビュー
  • というように、高級時代のラジオミールのように感じます。

    しかし、2005年という時代は、実はラジオミールにとっては転換点となった時期であり、「高級」という役割ではなかったのです。

    クロノグラフラジオミールの通常版の初登場が2005年であった点や、WEMPEモデルが同時期に出たということ、さらにスプリットセコンドという点から、PAM00214は高級感時代のラジオミールという印象になりますが、実はその世代ではありません。

    それは、このPAM00214のベースムーブメントが、ETA7750ということからも分かります。この世代より前まで、ラジオミールにETAベースのムーブメントが搭載されるということは基本的になく、限定モデルでなくともゼニスやJLCが搭載されていました。

    よって、高級時代のラジオミール“でない”ということから、値下がり傾向となっているのは不自然なことでないといえます。

    ただ、このPAM00214というモデルは、高級時代のラジオミールでないとはいえ、スプリットセコンドクロノグラフという高級要素や、2つ目のラジオミールクロノグラフという人気デザイン、そしてそのレアさから、今の価格はなかなかお得感があると感じます。

    なお、2015年に70万円台という中古相場でしたが、2014年も同様の水準です。また、2011年も60万円台中盤以上という水準だったため、今の価格は過去と比較すると安い水準だといえます。

    この記事の執筆者
    斉藤由貴生
    腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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