1つのモデルのために開発された専用ムーブメント、手彫りのギョーシェ文字盤、K18文字盤プレート。
これは、2007年に登場したクロノメトロゴンドーロの要素であるのですが、パテックフィリップがこういった2針のシンプルなモデルに対して、これほどの内容をてんこ盛りにするのはかなり珍しいといえます。
また、そういった気合は、風防などからも感じることができ、見事にカーブした美しいサファイアクリスタルは、他のパテックフィリップとは異なるアイテムだといえます。
そして、これだけ凝った内容であるため、腕時計にマニアックなファンからはかなり評価が高い存在となっている様子で、現在相場も高そうな気がします。
けれどもこのモデル、1年前から相場がほぼ変わっておらず、さらに2011年からも28万円程度しか値動きしていないのです。
2011年といえば、ノーチラス5711が150万円以下で購入可能だった時代ですが、その時期と比較して価格差が30万円以下というのは評価されていないという印象になります。
また、この5098Pは他のプラチナパテックフィリップと比較しても価格帯は大きく違わず、特殊な要素を持つという部分が評価されていない印象です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年12月 の安値(楽天) |
2018年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
クロノメトロゴンドーロ 5098P-001 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥2,980,000 | ¥2,985,920 | 5,920 | 100.20% |
なぜこの5098Pはパテックフィリップが気合を入れたモデルであるにもかかわらず評価されないのでしょうか。
その理由こそ、トノー型のこの見た目にあるといえるかもしれません。
この見た目の時計といえば、あのブランドが連想されますが、あのブランドは2000年代においてとても強い人気があったといえます。
有名なトノー型モデルがインスパイアされたモデルこそ、このパテックフィリップのクロノメトロゴンドーロであり、パテックフィリップとしては本家の力を見せつけたかったのかもしれません。
クロノメトロゴンドーロという存在は、確かにオリジナルであるのですが、「2007年に出す」というきっかけとなったのは、他社に影響を受けたといえるかもしれないのです。
しかし、いくらパテックフィリップが本家でも、このトノー型というデザインは他社の印象が強く、パテックフィリップの気合が分かりづらいのでしょう。
そして、今となってはトノー型人気は2000年代と比較して落ち着いたといえる状況であるため、それと同様にこの5098Pも注目されていないのかもしれません。
今後どうなるかは分かりませんが、この5098Pという存在は、パテックフィリップがかなりな気合を入れた珍しいモデルであることに違いはなく、非常にレアという要素があることを覚えておく必要があるでしょう。