腕時計投資新聞

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2016年5月8日更新

「最後の腕時計」、パテックフィリップ“96”

当時の「ノーチラス」の位置づけは、

「オーソドックスなパテックをせめて1本持っている人が、遊び用に買う時計」

これは某正規代理店の方も言っていたことです。

しかし、その後ノーチラスは世界的な“人気時計”となり、パテックフィリップといったらノーチラスが思い浮かぶ」という人が多いことは正規代理店の方も分かっていると思います。

さて、この96

昔に比べると96のことを考えている人が少なくなったように思えます。

しかし2000年代前半頃まで、この96こそが時計ファンにとって「最後の腕時計」と言われていたのです。

96を見た感想で多いのが

「ベストバランス」
「見ていて溜息をつくほど美しい」


でした。

確かに「バランスの良いデザイン」だとは思いますが、60万円から80万円で流通していたこの時計、「最後の腕時計」と言わずに買ってしまえば良かったのに、と私は思います。

とはいえ、当時この時計を買うなら、クロノグラフ(5070)やノーチラスアクアノートを買っていたほうが良かったのは間違いありません。

なぜなら、それら3つのいずれかを買っていれば、今頃売却益で96が買えたかもしれないからです。

なぜ買わなかったのかと「ため息をつきたい」ですね。

さて、96

生産されたのがかなり昔の時計。1950年頃生産、と言われても普通な時計です。

ただパテックフィリップの場合、アーカイブをすぐに発行してくれるので本物証明は容易。

通称アンティークロレックスとは異なり、ニセモノリスクはありません。

しかし、種類が非常に多く、どれをだれが評価するか、かなり曖昧です。

そのため、同じ見た目に見えるモデルでも、80万円で取引されたり130万円で取引されたり、その価格はかなり乖離しています。

例えば、黒文字盤は希少なため高値傾向があるのですが、そういう分かりやすい理由以外の価格を決める要素が存在するのが96の厄介なところ

よって、96。「最後の腕時計」と言われるぐらい“神聖”な時計である訳ですし、出口戦略も厄介。

「最後の腕時計」、すなわち「最後に買う腕時計」と思われていた96ですが、腕時計投資の売却益で「最初に買う時計」にしてみてはいかがですか。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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