ワールドタイムは、2016年頃から乱高下が激しいという印象がありましたが、それは今でも変わらないと感じます。
実はこの時計、2015年8月水準は320万円だったのですが、2016年に値下がりして以降、なかなかその水準に戻りませんでした。
それが2018年8月に約321万円となったことにより、「ようやく2015年水準以上」ということが達成されたわけですが、それから1年半後の今、再び値下がりへと転じてしまっています。
ワールドタイムと同じように、アクアノートも2014年の水準をなかなか回復しなかった傾向がありましたが、そちらも2018年に「2014年以上」となっています。
アクアノートは、それ以降、さらなる上昇傾向となっていったわけですが、その一方でこのワールドタイムはあまり目立った値動きをせず、それどころか再び2015年以下の水準にまで値下がりしてしまっている状況となっています。
ちなみに、このワールドタイムの5110は、2000年に登場した近代的ワールドタイムの第一世代にあたり、このRGのほかに、YG、YG、Ptが存在します。
これまで、Ptを除くとRGが最も高い傾向があったといえますが、今なぜかRGが最も安いという状況。5110Gや5110Jよりも、この5110Rのほうが安いのです。
そういった意味では、5110Rの現在水準はこれまでの事例では見られない価格序列だといえます。
ただ、他の5110の値動きも目立って上昇しているとはいえないため、やはりワールドタイムは全体的に上昇しない印象があります。
ワールドタイムのようなパテックフィリップらしい特徴を備えた機能は、かつては憧れの対象だったといえますが、それは、年次カレンダーも同様でした。
しかし、今の時代では、ワールドタイムも年次カレンダーも特に評価されている印象はなく、多くの人に憧れられる存在感ではないとも感じます。
ただし、ワールドタイムには強い要素が無いというわけではなく、年次カレンダーより有利なポイントがあるといえます。
年次カレンダーの場合、今ではノーチラスにもラインナップされていまが、ワールドタイムは他モデルへの展開がありません。
ですから、ワールドタイムは、歴代ワールドタイムの中から選ぶということになり、唯一無二的な印象があります。
また、かつてのこの5110が登場するまで、ワールドタイムという存在は、幻のグランドコンプリケーションだったわけで、かなり強い要素があります。
そして、そういった要素に加えてGMT機能という便利さがあるため、何かと優秀な要素の腕時計だといえます。
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