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2021年2月27日更新

【2021年度版】機械式腕時計 ”リシャール・ミルの人気おすすめモデル8選”

緊急事態宣言が続いておりますが、皆さまどのようにお過ごしでしょうか。

引き続き、お身体にはお気をつけくださいませ。

さて、今回のコラムでは『リシャール・ミル(Richard Mille)』を取り上げたいと思います。内容に関しては、現行モデル、ディスコン人気モデルも含めての8選とさせていただきます。

歴史と背景

『リシャール・ミル(Richard Mille)』 は、スイスの高級腕時計ブランドで、モーブッサンなど複数の高級ブランドに携わったフランス人のリシャール・ミル(1951年生まれ)によって、2001年に設立された新興の時計ブランドです。ご存知の方も多いと思いますが、実はリシャール・ミル本人は総合監修を行うのみで、実際に時計製作をしているわけではありません。

他のブランドだとケースなど一部の部品にのみ使用する最先端の素材を、内部パーツにまで惜しみなく使用し、低負荷、軽量、耐久性など最高の品質にこだわっています。製造本数が限られているのは希少価値を高めるためではなく、その時計製作へのこだわりゆえであり『リシャール・ミル(Richard Mille)』の競争優位性は、他ブランドが真似できない技術により支えられているといっても過言ではありません。

実は、同ブランドでは優れた部品のサプライヤーを見つけ出し、時計を作り上げるために必要なパーツ、ムーブメントを外注しています。近年の傾向として、自社でムーブメントやケースなどを一貫製造することが多いですが、究極を求めるからこそ、優れた技術を持ったサプライヤーを柔軟に受け入れているその姿勢が、他のブランドとは一線を画す所以であると思います。2013年には自社パーツ工房も設立されていますが、同社自身が自社で全てを製造する必要はないと公言をしている点からも明白ですね。

昨今は自社で”一貫製造”できることが一つの付加価値やブランド戦略となっていますが、自社製ムーブメント搭載の時計は、そうでないモデルに比べ、一般的にはハイエンドの位置づけとなることが多いと思います。しかしながら『リシャール・ミル(Richard Mille)』はその流れの逆を進んでいる。一般的なマーケティングではなく、理想のコンセプト、エクストリームウォッチと称される時計製作のために、真摯に取り組んでいる姿勢が『リシャール・ミル(Richard Mille)』の独自性やイメージを形成しています。そのイメージ戦略は、陸上やテニスなどのスポーツ選手をはじめ、レーシングドライバーなどがアンバサダーとなっている点でも体現されていて、それらのトッププレイヤーたちはそれぞれの名を冠した時計を着用しています。

では早速、そんな『リシャール・ミル(Richard Mille)』の人気おすすめモデルを紹介したいと思います。

おすすめモデル① RM055 [バッバ・ワトソン]

191cmという長身から、ドライバーの平均飛距離が315.2ヤードという圧倒的な飛距離で「飛ばし屋」の愛称で知られるバッバ・ワトソン。こちらの「RM055」は、2012年マスターズ(メジャートーナメント)でルイ・ウェストヘーゼンを下し、プレーオフを制して初優勝をした際に着用していた「RM038」の意匠を受継いだ手巻きモデルです。2000バールの高圧で射出された酸化アルミニウムパウダーチューブで作られた新素材ATZセラミックスをベゼルに採用し、ミドルバックのチタンケースにはホワイトラバー加工が施されています。現在、海外サイトのクロノ24では、平均で35,000,000円という定価の3倍ほどの驚異のプレミアム価格がついております。

参考定価(販売当初)12,960,000円(税込)

おすすめモデル② RM38-01 [バッバ・ワトソン]

「RM38-01」は、2014年のマスターズで新鋭ジョーダン・スピースらを退けて2度目のグリーンジャケットを獲得したバッバ・ワトソンが、プレイ中に着用していた時計に着想を得たモデルです。前作「RM038」の機構に、ゴルフ中のスイングに生じる重力加速度(G)を20Gまで計測するG・フォースセンサーを12時位置に搭載し、42時間のパワーリザーブを備えた、世界限定50本の手巻きトゥールビヨンです。TZP-Gグリーンセラミックという軽量で屈強な素材を使用しており、グリーンセラミックス製ケースとホワイトラバーコーティングチタン×クオーツTPT®製ケースがあります。リューズがゴルフボールデザインとなっている点も、さりげなくオシャレですね。諸々はさておき、プライスには度肝を抜かれます(笑)


【出典】リシャール・ミル

参考定価(販売当初) 101,200,000円(税込)

おすすめモデル③ RM35-02 [ラファエル・ナダル]

こちらは2016年の夏に発表された、オートマティックキャリバー初搭載の鮮やかな赤と白のコントラストが美しい、ラファエル・ナダルのモデルです。手巻きから自動巻きにマイナーチェンジされたことにより、ケースバックがシースルー仕様に変更されています。新素材のクオーツTPT®が採用され、幾重ものクオーツファイバー層を積み重ねたケースは、5000Gを超える衝撃テストもクリアしています。キャリバーにはチタン素材を使用し、巻き上げ効率を調整して安定動作する、可変慣性モーメントローターを搭載しています。重量はわずか約72g。加えて55時間のパワーリザーブと50m防水を備え、テニスというハードスポーツに耐えうる実用性が高いモデルとなっております。

参考定価(販売当初) 16,280,000円(税込)

おすすめモデル④ RM11-03 [マクラーレン]

2018年にジュネーブモーターショーにて発表された、マクラーレンと『リシャール・ミル(Richard Mille)』のパートナーシップモデルです。こちらは、オレンジクオーツTPT®とカーボンTPT®を織り合わせて製作しており、優れた耐性と軽量性を持ち、マクラーレンの代名詞とも言えるオレンジカラーを採用したモデルです。チタン製プッシャーはマクラーレン720Sのヘッドライト、チタン製リューズはマクラーレンのホイール、ベゼルに埋め込まれたチタンパーツはマクラーレンF1の吸気口と同じ形状をしている点がニクいですね。アニュアルカレンダーとオーバーサイズデイト表示、フライバッククロノグラフとカウントダウンタイマーの複雑機構を搭載した、最新鋭の自動巻きムーブメントCal.RMAC3が搭載されています。マクラーレンのアルティメットシリーズを購入した顧客に優先販売された、世界限定500本のモデルです。

参考定価(販売当初) 23,004,000円(税込)

おすすめモデル⑤ RM11-03 [ジャン・トッド]

世界自動車連盟(FIA)会長であり、リシャール・ミル ファミリーの一員であるジャン・トッド。リシャール・ミルとジャン・トッドは長年の友人であり、製品へかける情熱や探究心をお互いに認め合い、深い絆で結ばれている大切なパートナーのようです。こちらは2017年のモデルで、彼のキャリア50周年を記念したモデルとなっていて、着想を得たのはレーシングカーとカーレースの歴史とのことです。4時と5時の中間位置にあるプッシュボタンを押すと、メカニズムをストップさせずにクロノグラフのリセットができます。こちらの機構は、飛行中のパイロットがクロノグラフのストップ、リセット、スタートをロスなく正確に操作できるように開発されたものです。また、アニュアルカレンダーを搭載しており、1年に1回、3月1日のみカレンダー調節を操作すれば、毎月末の30、31日を判別をして日付を送る機構が備わっていて、4時と5時位置の間にある小窓で月を表示します。ジャン・トッドの名前と彼の好きな色を配したブルーとホワイトのクォーツTPTのケースは、軽さと究極の耐久性を兼ね備えていて、世界限定150本モデルの希少モデルです。


【出典】リシャール・ミル

参考定価(販売当初) 21,450,000円(税込)

おすすめモデル⑥ RM011 [フェリペ・マッサ]

2011年のSIHHで発表された、フェリペ・マッサのDLCモデルです。過酷な状況下での振動や衝撃にも耐え得るように設計されています。「RM011FM」は『リシャール・ミル(Richard Mille)』において最大級のケースサイズ(50 ×40 mm)で、圧倒的な存在感と抜群の装着性を両立している人気コレクションの1つです。モデル名が指し示すとおり、F1フェラーリチームのドライバーであり『リシャール・ミル(Richard Mille)』のアンバサダーでもあるフェリペ・マッサがレース中にも着用しているモデルです。2011年のSIHHコレクションでは、新作の「RM011」が2種類発表されましたが、こちらは、チタンケースにDLCコーティングを施したモデルです。強靭なブラックケースと、レッドカラーのインデックスを採用したデザインとなっていて、配色が非常にカッコイイです。フェリペ・マッサのモデルは、他にもカラーバリエーションがありますが、個人的にこのカラーが一番好みです。


【出典】リシャール・ミル

参考定価(販売当初) 9,030,000円(税込)

おすすめモデル⑦ RM67-01 [オートマティック エクストラフラット]

こちらは2016年に発表された『リシャール・ミル(Richard Mille)』初の薄型トノーケースウォッチ「RM67-01」です。トノーケースに初めて採用されたエクストラフラットモデルで、自社開発キャリバーCRMA6の厚さはわずか3.6mm、ケース自体の厚さも7.75mmと、極めて薄く軽量なケースとなっています。極薄型ムーブメントながら、奥行き感を持たせるためにスケルトン加工がされており『リシャール・ミル(Richard Mille)』の哲学と技術が集約されています。私の好きな映画俳優のジョン・マルコビッチも愛用しています。公式ホームページを見ると、革ベルト仕様となっており、スポーティーな印象の強い『リシャール・ミル(Richard Mille)』の中で、また違った使い方ができるモデルのような気がしてオススメです。


【出典】リシャール・ミル

参考定価(販売当初) 12,650,000円(税込)

おすすめモデル⑧ RM030 [オートマティック デクラッチャブルローター ジャパン・リミテッド]

「RM030」は、2011年に日本限定15本で発売された、シックな色使いが世界的にも人気のモデルで、その希少性もあり即完売になったモデルです。スポーティーな既存モデルと比べて、ブラック×ホワイトで統一されていて、クールな印象ですね。通常はトゥールビヨンモデルのみに用いられる仕様(ホワイトカラーのインナーベゼル、アラビアインデックス)を採用し、視認性が大幅に向上しています。ケースは同モデル初のカーボンナノチューブ配合コンポジット(複合素材)となっており、ブラックを基調とするモノトーンが大人の魅力を演出してくれます。搭載する特殊機構は特許も得ているデクラッチャブル・ローター(端的にいうと巻上げ過ぎない機能のこと)で、内部部品にかかる負担を自動的に軽減するという優れた機能です。生活スタイルに合わせて最適の巻き上げ効率を確保できる、可変慣性モーメントローターも搭載しています。

参考定価(販売当初) 12,075,000円(税込)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

2019年に発表されたカラフルなボンボンコレクションをはじめ、ここのところ『リシャール・ミル(Richard Mille)』は男性向けだけではなく、女性に向けても積極的に発信し始めています。

また、このコラム作成と同タイミングの2021年2月23日、リシャール・ミルはF1のフェラーリと新しく複数年のパートナーシップを締結したことを発表しました。今後の同ブランドの動向には益々注目していきたいですね。

当店コミット銀座では『リシャール・ミル(Richard Mille)』の委託販売を強化しておりますので、ご売却を検討されている方は、是非ともお気軽にご相談ください。

Text By Yoichiro Yamashita

●この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。

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