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コミットTV 八木コラム ~ エクスプローラーⅡは2021年 廃盤(ディスコン)か!?~

皆様も大好きな廃盤(ディスコン)予想の時期が訪れましたね。

次は一体どんな素敵なデザインが発表されるのか、ワクワクしながら予想しているのではないでしょうか。また、それと同時に廃盤(ディスコン)モデルの今後の相場はどうなるのか、、、

先日、コミット店主 阿部 泰治が執筆しているコラムとYouTubeでは【パテックフィリップ】の“ノーチラス廃盤の真相”をお伝えさせて頂きました。今回私からは、ロレックスエクスプローラーⅡ「Ref.216570」の廃盤(ディスコン)についてお伝えしていきたいと思います。

エクスプローラーⅡの歴史

まずはエクスプローラーⅡについて簡単におさらいしていきたいと思います。
エクスプローラーI の上位機種として1971年に誕生した「エクスプローラー II」
機能性と堅牢性を高め、昼夜の区別を示す24時間針を備えた「洞窟探検家のための時計」として発表され、当時、エクスプローラーⅠとは一線を画すデザインとして話題をさらいました。

初代 「Ref.1655

初代「Ref.1655」は約13年間生産され、現在も高い人気を誇るヴィンテージロレックスのひとつです。
24時間針、日付表示、ベゼル、インデックスなどが特徴ではありますが、全てにおいて、エクスプローラーⅠとの違いが顕著に出ているデザインとなっております。ムーブメントはCal.1570クロノメーターを搭載しております。

二代目 「Ref.16550

二代目の「Ref.16550」は1984年~1988年頃に生産され、非常に短命で終わってしまったモデルです。
機能面では24時間針が単独で稼働することが可能となり、第2時間帯を同時に表示できるGMT機構を搭載しております。
また、レアな仕様として文字盤がクリーム色の”アイボリーダイヤル”が存在したのも、このモデルのトピックと言えるでしょう。


※レア個体:アイボリーダイヤル

三代目 「Ref.16570

続いて三代目にあたる「Ref.16570」は、1991年頃~2011年頃に生産され、20年ものロングセラーとなったモデルです。
デザイン的には「Ref.16550」とそこまで大きな変更点はありませんが、ムーブメントにはCal.3185(2007年頃からはCal.3186)を採用。パワーリザーブは48時間でテンプを支えるブリッジがシングルからツインへ変更されました。また調整機構がマイクロステラスクリューからマイクロステラナットへ変更され、機能面を大幅に改良させております。

④四代目 「Ref.216570

そして、今回コラム執筆にあたり、廃盤(ディスコン)の噂が立っている現行モデルの「Ref.216570
「Ref.16570」からの変更点としては、ケースサイズが40mmから42mmに大型化し、24時間針が「Ref.1655」を彷彿とさせるようなデザインとなっております。また、ムーブメントはCal.3187を搭載し、パラフレックスと呼ばれる最新のショックアブソーバー仕様となり、耐震性が強化されました。また常磁性合金仕様のブルーパラクロムヒゲゼンマイによる耐磁力と標準の10倍程度の耐衝撃力を実現し、機能面の充実が図られました。

エクスプローラーⅡは廃盤(ディスコン)!?
ここからは噂の真相に迫っていきたいと思います。
なぜエクスプローラーⅡが廃盤(ディスコン)の筆頭候補とされているのか。
そこには大きく2つのポイントがあります。

①生誕50周年

前述したとおり、1971年に誕生したエクスプローラーⅡは今年で50周年を迎えます。
ロレックスはこのような節目の年を今までも非常に大事にしてきております。
過去に50周年を迎えたモデルの例を列挙します。

▶サブマリーナー :2003年 グリーンサブマリーナー発表
GMTマスター :2005年 ロレックス初のセラミックベゼル搭載
ミルガウス   :2007年 グリーンガラスを採用したミルガウスが復刻
デイトナ    :2013年 デイトナ初のプラチナモデル(アイスブルー)
シードゥエラー :2017年 赤シードゥエラー復刻

このような流れを考えると、今年はエクスプローラーⅡが新型へ移行することを想像するのは難しくないことですね。

②新型ムーブメント

現在Cal.3187を搭載しているエクスプローラーⅡですが、近年ロレックスの新作が次々と新ムーブメントを採用しております。他のモデルでは、その新ムーブメントにあたる3200番台への移行が進んでいる中、エクスプローラーシリーズはいまだに3100番台ということを考えると、新型へ移行するタイミングで新ムーブメントが搭載されることが予想されます。
エクスプローラーⅡと同じCal.3187を搭載していたGMTマスターⅡが2018年にCal.3285を搭載したことで、この情報の信憑性が非常に高まっております。

今後の相場について

ロレックスの廃盤(ディスコン)の噂が広まると、毎年起こる相場価格の上昇。
現在もエクスプローラーⅡ「Ref.216570」の”買い”が先行している状況です。
昨年末辺りから徐々に相場が上がっており、現在セカンドマーケットでの販売価格は


▶白文字盤:110万~140万


▶黒文字盤:100万~120万

※中古~未使用品の価格幅

新作発表が噂される4月までの残り2ヶ月でどこまで伸びるのかも楽しみなところです。
また「Ref.216570」の一世代前のモデル「Ref.16570」も人気は高まっております。
「Ref.16570」は、特にセミヴィンテージと呼ばれる初期頃の個体で、トリチウム夜光のダイヤルを搭載したモノなどは価格の上昇も著しいです。ベゼルやケース、ブレスの状態によっては中古市場でも100万円を超える個体が出できております。

まとめ

今回のエクスプローラーⅡの廃盤(ディスコン)についての内容はいかかでしたでしょうか。
エクスプローラーⅡの歴史を振り返ると共に、このモデルの素晴らしさもお伝えできたのではないかと思います。
いつの時代も新しいデザインやモデルが登場するものですが、そこには必ず作られた背景やロマンが付いてくるものです。今回、廃盤(ディスコン)になる可能性が高い「Ref.216570」も5年後、10年後には語り継がれるモデルとなっているでしょう。
そして新たな幕開けとなる新エクスプローラーⅡの登場にも期待し、新作発表までの期間を楽しみたいですね。

ではまた!

●この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。

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