このところ、カルティエは90年代、2000年代初期に人気だった名作のリバイバルを行うといった傾向があるように思いますが、実際サントスやパシャなどの新作がそれに該当します。
サントスは、2000年代中盤から「サントス100」が中心的な存在といった感覚がありましたが、今では「サントスガルベ」的なラインナップに回帰しています。
また、パシャは男性用モデルが廃止されていましたが、2020年にメンズサイズが復活。2000年前後のようなラインナップに戻ったという印象となっています。
そして、そういったことに影響されてか、ここ最近、サントスやパシャの中古相場が上昇傾向となっている様子が見られます。
例えばパシャの場合、2000年前後に現行だったパシャCは、これまで15万円前後といった印象だったわけですが、ここ最近は20万円前後が中心といった感覚があります。
そういったことから、90年代、2000年代初期に人気だったモデルは、やはり名作だったと感じられるわけですが、そうなると「もう1つ」気になるモデルがあるといえます。
それこそが、タンクフランセーズなのですが、このモデルこそ、2000年代前後といった時代にパシャCと人気を二分していた存在だといえるでしょう。
とはいっても、このタンクフランセーズは、パシャやサントスとは異なる事情があります。
それこそが、90年代後半モデルの原型をとどめたまま現在まで続いているという点です。
先のようにサントスは、2000年代中盤に「ガルベ⇒100」という変化が起こりましたが、パシャも同じような変化が起きていました。
それに対して、タンクフランセーズはずっと(ほぼ)変わりないわけですから、サントスやパシャのように「リバイバル」ということができないのです。
とはいっても、現在のタンクフランセーズは「女性向けのみのラインナップ」という傾向であるため、かつてあった男性向けのLMサイズは廃止状態。
そうなると、LMサイズのタンクフランセーズは、どういった評価になっているか気になるところですが、最近の様子を見ると、上昇している様子があるのです。
LMサイズのタンクフランセーズには、3針自動巻モデルと、クォーツクロノグラフがありますが、現在どちらも上昇といった様子があります。
また、興味深いのはどちらも「一時下落した後、回復」という動きが共通している点です。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年3月 の安値 |
2021年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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カルティエ
タンクフランセーズ W51001Q3 |
中古 | 3年 3ヶ月 |
¥199,800 | ¥240,000 | 40,200 | 120.12% |
このタンクフランセーズのクロノグラフ、W51001Q3は2016年8月に約21万円という水準だったのですが、2018年3月には約19万円にまで下落。しかし、今では24万円となっているわけですから、回復したと同時に2016年水準よりも高くなったという状態です。
このW51001Q3は、「クロノリフレックス」と名付けられた機能が搭載されているのですが、これは何かというと「永久カレンダー仕様のクロノグラフ」であります。
3針が機械式、クロノグラフがクォーツという構成は、この時代のカルティエやピアジェでよく見かけましたが、上級機種となるとクロノグラフが永久カレンダーとなるのも同じです。
このクロノリフレックスには、スモールセコンドが省略されているため、クォーツ特有のステップ秒針を日常的に見ることがないのが嬉しいだけでなく、デイト表示を機械が自動で調整してくれるという点が良いでしょう。
そのため、こういった機構を持つこのタンクフランセーズやピアジェアップストリームは、コレクションの1本として、あったらあったで重宝しそうだと思います。