パテックフィリップでは、2017年頃からノーチラスが活発な値動きとなり、2020年代になってからはカラトラバやコンプリケーションモデルでもそういった動きが見られるようになったといえます。
しかしながら、パテックフィリップの中で「最高峰」に位置するといえるグランドコンプリケーションについては、まだそこまで「活発に値動きする」という様子が見られないといえます。
今回取り上げるのは、5140P-013でありますが、“プラチナ”、“黒文字盤”といった人気要素ゆえなのか、2019年8月時点で938万円という価格帯に位置していました。
なお、当時もノーチラス5711/1Aなどが「ものすごく高くなった」といった印象があったのですが、2019年7月時点における5711/1A-010水準は858万円だったのです。
ちなみに、2019年夏から下落トレンドが発生し、その後は新型コロナによる緊急事態宣言にともなって腕時計相場はさらに値下がり。5711/1A-010は、2019年7月水準をピークとして値下がりした結果、2021年になるまで858万円よりも高くなることはありませんでした。
ですから、2020年頃までにおいては、当時“凄まじい勢い”があったノーチラス5711/1A-010よりも、この5140P-013のほうが高値だったのです。
では、2025年の様子はどうなっているかというと、5140P-013は現在、1038万円といった状態であります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年8月 の安値 |
2025年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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パテックフィリップ
グランドコンプリケーション 5140P-013 |
中古 | 5年 5ヶ月 |
¥9,380,000 | ¥10,380,000 | 1,000,000 | 110.66% |
グランドコンプリケーション、そのプラチナモデル、なおかつ黒文字盤にダイヤという「人気要素」がある5140P-013ですが、それを持ってしても現在水準は1038万円なのです。
それに対してノーチラス5711/1Aの現在水準は、最も安価な5711/1A-001を例としても1548万円といった様子。
つまりこの5140P-013は、ステンレスのノーチラスよりも約500万円程安いのです。
ちなみに、アクアノートのコンプリケーションモデルである5164A-001は現在1290万円となっているのですが、それと比べてもグランドコンプリケーションの5140P-013のほうが250万円程度も安値であります。
5140P-013は、2020年頃までノーチラスと比較して「高値」という中古相場に位置していたわけですが、2021年以降は逆転。現在では、アクアノートのワールドタイムよりも安価となっているのです。
グランドコンプリケーションの場合、複雑機構ゆえにメンテナンス費用が心配といった事情がありますが、2020年頃までの中古相場では「超値上がり状態の5711/1Aよりも高値」だったわけです。
そういったことを考慮すると、現在1038万円で購入可能な5140P-013は、良い腕時計が欲しいという方にとっては「狙い目」といえるかと思います。