カルティエは、2021年頃から中古相場が勢いづくといった現象が起こった経緯があります。
また、2022年4月頃からはロレックススポーツ系といった従来からの人気モデルが値下がり傾向となった反面、カルティエでは上昇が継続。そのため、ここ2年3年ぐらいにおいては、『ロレックスよりも動いている』といういい方ができるぐらいの状況になったといえます。
しかし今、そんなカルティエにおいて値下がり事例が発生。
2021年以降、多くのモデルにおいて「右肩上がり」が続いていたカルティエでありますが、そういった状況にストップがかかったといえる例が出たのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2022年11月 の安値 |
2025年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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カルティエ
パシャ38mm クロノグラフ W31030H3 |
中古 | 2年 6ヶ月 |
¥548,000 | ¥435,336 | -112,664 | 79.44% |
現在、下落傾向となっているのはパシャ38mmのクロノグラフモデル、W31030H3でありますが、2022年11月時点で約54万円に達していたのが現在では約43万円となっている状態です。
この2年半でW31030H3は、約11万円の値下がりとなっているわけですが、2021年以降に上昇したカルティエが、こういった値動きになるのは初だと思います。
パシャ38mmは2000年前後といった時期に、パシャシリーズの上級モデルとして存在。3針にはジラールペルゴ、クロノグラフにはフレデリックピゲベースのムーブメントが搭載されており、当時のオーヴァーシーズと全く同じムーブメント構成となっていました。
このW31030H3の現行時の新品相場は約59万円と、当時のフランクミュラーカサブランカ相場よりも高値。
その頃、SSスポーツロレックスの新品相場は30万円台後半が主だったといえるため、このW31030H3といった50万円台のモデルは「すごい」という感覚だったといえます。
そういった価格帯だったため、このW31030H3はリーマンショック後といった時期においても中古相場が約36万円といった水準。
これは、5桁青サブなどと同水準だったわけで、立ち位置(相場序列)といった観点2000年頃の新品相場と変わりませんでした。
しかし、2010年代になるとW31030H3の相場は下落。
特に2018年頃には値下がりし、当時は25万円を切るといった状態になっていました。
そのため、このW31030H3は「フレデリックピゲ最安値」といったある種不名誉ともいえる相場になっていたといえます。
それが2022年頃からパシャ38mmが動き出すようになると、このW31030H3も反応。2022年4月に約37万円になり、2022年11月には約54万円にまで上昇したのです。
2022年4月時点の約37万円といった水準は「2011年水準を少し超えた」といった状態。そのため、2022年11月の約54万円という水準になって、「ようやく上昇した」といえたわけです。
しかし今、そんなW31030H3は約43万円に値下がり。
この値動きは、2022年2月頃のロレックスのような「急上昇後に落ち着いた」というよりも、はっきりとした値下がりだと筆者は捉えています。
というのも、先のようにW31030H3は2011年時点で約36万円といった状態だったため、約43万円という水準では2011年水準に近く、他のカルティエ相場と比べても相対的に安価といえるからです。
長くなったのでやや乱雑に表現すると、このパシャ38mmクロノグラフの現在は『80万円台のサントスガルベW20098D6が48万円程度になってしまった』、というような感覚であります。