2023年頃から、かつての「人気レギュラーモデル(非限定モデル)」の相場が、変化するようになったパネライ。
2016年頃までは、ロレックスのように「相場全体が高いときは高く、安いときは安い」という動きをしていたのですが、2016年夏の下落トレンド後に、不思議とパネライは相場が動かなくなった経緯があります。
ロレックスやパテックフィリップの場合、2017年から値上がり傾向が継続していったわけですが、パネライの多くは、2016年に値下がりした状態から停滞。
5年以上に渡ってあまり値動きしなかった結果、他ブランドと比べると相対的に安くなってしまった、という経緯があります。
2000年前半世代の手巻きルミノールは、2015年時点で40万円台だった一方、2016年以降は30万円台といった水準が継続。その間、2016年頃まで同じ価格帯に位置していたエクスプローラー2などは90万円台に変化しています。
そういった傾向があったパネライでしたが、2023年頃から値動きするようになった結果、50万円台に到達するモデルが多く、この2年ぐらい、この世代の44mm手巻きモデルは全体的に50万円台になっているといえます。
しかしながら、そんな44mm手巻きモデルでも、かつて最も人気といったキャラクターだった112番(2番も含め)については、これまで50万円を超えておらず、ボトム価格も安定しなかったため、記事でも取り上げづらかった傾向があったのです。
そんな112番でありますが、2025年現在、なんと驚くべき変化が起きている様子があります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年1月 の安値 |
2025年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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オフィチーネパネライ
ルミノールベース PAM00112 (前期文字盤) |
中古 | 5年 8ヶ月 |
¥358,000 | ¥618,000 | 260,000 | 172.63% |
112番は、ルミノールベースの黒文字盤。2002年に2番を裏スケ化した後継モデルとして登場しています。

前期モデルが2番同様の流し込み文字盤となっている一方、2005年のマイナーチェンジで、サンドイッチ文字盤が採用。

同じ112番といえど、前期と後期で見た目が異なります。
2002年デビューの112番ですが、2016年頃まで現行としてラインナップされており、長らく「サンドイッチ文字盤のほうが高値」といった傾向がありました。
記事では、112番のボトム価格をお伝えしてきたのですが、これまでサンドイッチ文字盤がボトムに位置することがなかったため、特段「流し込み文字盤」や「前期文字盤」という注釈を入れていません。
しかし今、なんと112番のボトム付近個体はいずれもサンドイッチ文字盤となっており、その価格帯は50万円前後といったところ。
その一方で、前期の流し込み文字盤となると相場は一変し、60万円以上という価格帯になっているのです。
ちなみ、2番も現在60万円以上となっているわけで、流し込み文字盤(ルミノバ)の黒文字盤ベースは、いずれも急激に評価されるようになったといえます。
ちなみに、パネライが日本で大ヒットとなった2002年、最も入手困難かつ人気だったのが、この黒文字盤ルミノールベースでした。
60万円台という現在相場を見ると、2002年頃の「高い時期」に肩を並べるぐらいになったと、感慨深い気持ちになります。
これは、エクスプローラーの14270が2020年11月に、1999年頃の新品実勢価格に肩を並べた、というのと同じぐらいのエピソード。時計相場史に残る出来事だといえます。