2018年現在におけるパネライのリファレンスには1000番代も存在していますが、その1番目となったのは何かというと、その名の通りPAM00001という存在です。
PAM00001の登場は1997年のPreA時代であり、プレヴァンドーム時代にもっとも近い年式です。
ただし、プレヴァンドーム時代をほぼそのまま引き継ぐというわけではなく、この“ステンレス+スモールセコンド”という仕様はPAM00001が初となっています。プレヴァンドーム時代は、スモールセコンド版はPVD仕様しかなかったのですが、そういったパネライの味をうまく洗練させたのがこの1番であるという印象です。
そんなPAM00001という存在ですが、2002年には「裏スケ」化というマイナーチェンジを受け、リファレンスもPAM00111に変化しました。
2001年の1番と、2002年の111番における差は、裏スケか否かという点なのですが、それでもリファレンスが変更されたため、両者は別モデルという印象もあるかもしれません。
そのためか、2000年代後半頃から、1番は111番と比較すると中古相場がやや高めで、「裏スケ」という要素がないにもかかわらず評価されていたのです。
また1番には、PreA、A番、B番の時代に存在する「トリチウム文字盤」というレア文字盤が存在し、特に高く評価されている傾向があります。
しかし、そんな1番は2017年頃から、トリチウム文字盤以外については、あまり評価されているとはいえない状況となっており、30万円台で購入可能だったのです。
ルミノールベースの記事で何度か指摘しましたが、1番や2番、111番、112番など2002年頃にオーソドックスな現行モデルとして存在した手巻きパネライは、相場が高いときには40万円台、やや安いときには30万円台後半となる傾向がありました。
この場合の「やや安いとき」とは、2016年などのことであり、2015年のように高い時期から安くなった時期のことをさします。ちなみに、リーマンショック後のように特に安くなった時期において手巻き44mmは20万円台となっていました。
ですが、2017年以降は相場全体とは異なる値動きをする傾向が目立ち、他の時計が値上がり傾向となっているのに30万円台後半となっていたのです。
例えば、2016年8月過ぎのように、相場全体が値下がり傾向であれば30万円台となるのは不思議ではありません。しかし、相場全体が高くなっている傾向があるのに対し、1番は30万円台という水準だったのです。
そんなPAM00001という存在ですが、2018年8月の今、久々に40万円台となっている様子です。
本記事で参考とした中古腕時計
|
|
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年3月 の安値(楽天) |
2018年8月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00001 |
中古 | 1年 5ヶ月 |
¥398,000 | ¥410,000 | 12,000 | 103.02% |
2017年3月から約1年5ヶ月という期間を経て値上がりした額は、1万2000円に過ぎず、「ほぼ値動きしていない」とも表現できます。けれども、PAM00001にとって30万円台後半と40万円台前半という差は、先の事例を考慮すると大きな差だと感じます。
PAM00001という存在は、冒頭でも述べたようにプレヴァンドーム時代のコンセプトを引き継ぐパネライであり、トリチウム文字盤という評価されている存在もあります。
PAM00001というリファレンスの通り、この1番という存在はパネライにおいて重要なモデルであり、オリジナルの雰囲気を踏襲しながらも、現代のパネライの基本となった存在だといえます。
しかし、そのPAM00001という存在が近年評価されていないといえる状況なのです。
その理由として最も大きいと思われるのは、パネライがリファレンスを増やしすぎたからだと思われます。
先のように、裏スケ化した時点で1番から111番に変更していますし、その後も違うリファレンスの同じようなモデルが多々作られました。
ですから、PAM00001という存在は、111番やそれ以降のリファレンスと区別しづらく、良い要素があるにもかかわらず評価されない傾向があるのかもしれません。