今の時代において、カルティエの「サントス」に対するイメージは、サントスガルベ的なものでありますが、一時期カルティエは、ガルベ的イメージを革新したいと考えた時期があったようです。
実際、腕時計ブームといわれていた2000年前後という時代、サントスに対して「古臭い時計」という印象があったとも感じられました。
その頃、カルティエの腕時計はロレックスとともに、郊外型ドンキホーテでも売られていたほどメジャーな存在だったわけですが、そういったところに並んでいたのはパシャCやタンクフランセーズ。サントスの影は薄かったわけです。
そして、2000年代中盤になるとカルティエは「サントス」を大きくテコ入れします。
それこそが、このサントス100という「新しいサントス」の投入だったわけですが、これによってそれまで古臭いと思われていたサントスが洗練されたという印象になったといえます。
ただ、カルティエはサントスガルベもしっかり大事にしており、同じ時期にガルベにもXLという新型を投入。これはLMサイズよりも一回り大きなメンズサイズですが、当時の「大きい時計が良い」というトレンドに即したものだといえます。
そしてサントス100となると、そのサイズはさらに巨大。まさに、当時世界的に流行っていたパネライのエッセンスをサントスにも取り入れたといえるわけですが、それは「大きなサイズ」ということにとどまりません。
なぜなら、このサントス100は基本的に革ベルトという構成となっているわけですが、もともとブレスレットがメインだったサントスの最新モデルが革ベルトがメインとなったのは、パネライの成功事例があったからだといえるでしょう。
今でもそうですが、世界的にブレスレットの腕時計のほうが、人気モデルとなりやすい傾向がありますが、2000年代前半という時代は、今よりも特にそういった傾向があったように感じます。
そんななか、例外的にパネライが「革ベルトのほうが良い」といったような流行のしかたとなったため、同じリシュモングループであるカルティエも、サントス100にパネライの成功事例を取り入れたのでしょう。
サントス100が登場したのは2004年ですが、その頃といえばパネライが「大ブレイク」という時代。そのトレンドと、サントスの伝統をうまく組み合わせ、古臭い印象だったサントスを近代的に作り変えたのがこのサントス100というモデルだったと思います。
しかし、今となっては、そんなサントスに再び天変地異が生じています。
それこそが、サントスのイメージが再び「サントスガルベ」となった変化ですが、実際、今ではサントスガルベの実質後継モデルが「サントス」の現行モデルという状況。このサントス100はモデル廃止となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年12月 の安値 |
2021年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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カルティエ
サントス100 W20073X8 |
中古 | 3年 1ヶ月 |
¥464,400 | ¥437,800 | -26,600 | 94.27% |
冒頭で、2000年代前半といった時代に「サントスガルベは古臭い印象があった」と述べましたが、そういったことは2010年代中盤頃から変わってた思います。
2016年頃からは、サントスガルベは「珍味的な良さ」というように再評価される様子が徐々に見られ、実際2017年の記事でも、「ノーチラスとサントスガルベには“珍味的な良さ”が共通」と指摘しています。
サントスにおいて、サントスガルベが再び人気ということは、2018年にガルベ的な新作をカルティエが出す前からうっすらと感じられていたわけです。
そして今では、サントスガルべの旧世代も、XLを中心に値動きしている様子。
特に人気といえるのは、XLのコンビモデルなのですが、中古が出るとすぐに売れるという傾向があります。
筆者も、腕時計投資.comのメール便でコンビのXL(W20099C4)を登録しているのですが、先日久々に登場したと思ったら、その日のうちに売り切れとなっていました。
それに対して、こちらのサントス100、W20073X8はどうかというと、現在水準は2017年12月水準よりも安いといった状況です。
ちなみに、2016年3月の段階でこのW20073X8は約43万円でしたから、現在水準は2016年3月とほぼ同じといえる様子なのです。