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現在相場考察

ガルベか100か―サントス像の天変地異、カルティエW20073X8

2021年1月7日更新
カルティエのサントス100W20073X8について斉藤由貴生が執筆。本記事では2017年12月の安値と2021年1月の安値を比較し現在相場を考察。この3年1ヶ月での変動は2万6600円の値下がりだった。

サントス100 W20073X8についての考察(2021年1月)

今の時代において、カルティエの「サントス」に対するイメージは、サントスガルベ的なものでありますが、一時期カルティエは、ガルベ的イメージを革新したいと考えた時期があったようです。

実際、腕時計ブームといわれていた2000年前後という時代、サントスに対して「古臭い時計」という印象があったとも感じられました。

その頃、カルティエの腕時計はロレックスとともに、郊外型ドンキホーテでも売られていたほどメジャーな存在だったわけですが、そういったところに並んでいたのはパシャCタンクフランセーズサントスの影は薄かったわけです。

そして、2000年代中盤になるとカルティエは「サントス」を大きくテコ入れします。

それこそが、このサントス100という「新しいサントス」の投入だったわけですが、これによってそれまで古臭いと思われていたサントス洗練されたという印象になったといえます。

ただ、カルティエサントスガルベもしっかり大事にしており、同じ時期にガルベにもXLという新型を投入。これはLMサイズよりも一回り大きなメンズサイズですが、当時の「大きい時計が良い」というトレンドに即したものだといえます。

そしてサントス100となると、そのサイズはさらに巨大。まさに、当時世界的に流行っていたパネライのエッセンスをサントスにも取り入れたといえるわけですが、それは「大きなサイズ」ということにとどまりません。

なぜなら、このサントス100は基本的に革ベルトという構成となっているわけですが、もともとブレスレットがメインだったサントスの最新モデルが革ベルトがメインとなったのは、パネライの成功事例があったからだといえるでしょう。

今でもそうですが、世界的にブレスレットの腕時計のほうが、人気モデルとなりやすい傾向がありますが、2000年代前半という時代は、今よりも特にそういった傾向があったように感じます。

そんななか、例外的にパネライが「革ベルトのほうが良い」といったような流行のしかたとなったため、同じリシュモングループであるカルティエも、サントス100にパネライの成功事例を取り入れたのでしょう。

サントス100が登場したのは2004年ですが、その頃といえばパネライが「大ブレイク」という時代。そのトレンドと、サントスの伝統をうまく組み合わせ、古臭い印象だったサントスを近代的に作り変えたのがこのサントス100というモデルだったと思います。

しかし、今となっては、そんなサントス再び天変地異が生じています。

それこそが、サントスのイメージが再び「サントスガルベ」となった変化ですが、実際、今ではサントスガルベの実質後継モデルが「サントス」の現行モデルという状況。このサントス100モデル廃止となっているのです。

本記事で参考とした中古腕時計

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本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2017年12月
の安値
2021年1月
の安値
変動額 残価率
カルティエ
サントス100
W20073X8
中古 3年
1ヶ月
¥464,400 ¥437,800 -26,600 94.27%

冒頭で、2000年代前半といった時代に「サントスガルベは古臭い印象があった」と述べましたが、そういったことは2010年代中盤頃から変わってた思います。

2016年頃からは、サントスガルベ「珍味的な良さ」というように再評価される様子が徐々に見られ、実際2017年の記事でも、ノーチラスサントスガルベには“珍味的な良さ”が共通」と指摘しています。

サントスにおいて、サントスガルベが再び人気ということは、2018年にガルベ的な新作をカルティエが出す前からうっすらと感じられていたわけです。

そして今では、サントスガルべの旧世代も、XLを中心に値動きしている様子。

特に人気といえるのは、XLのコンビモデルなのですが、中古が出るとすぐに売れるという傾向があります。

筆者も、腕時計投資.comのメール便でコンビのXL(W20099C4)を登録しているのですが、先日久々に登場したと思ったら、その日のうちに売り切れとなっていました。

それに対して、こちらのサントス100W20073X8はどうかというと、現在水準は2017年12月水準よりも安いといった状況です。

ちなみに、2016年3月の段階でこのW20073X8約43万円でしたから、現在水準は2016年3月とほぼ同じといえる様子なのです。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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