腕時計投資新聞

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2016年8月26日更新

価格が約半分になった、ルイヴィトン『タンブール』Q1111

高級腕時計として世界中で認められるは、基本的には以下の要素が入ったブランドです。

  • マニュファクチュール
  • 腕時計専門ブランド
  • 宝飾ブランド

一方、腕時計をラインナップしていても一般的な高級腕時計の部類に入らないのが、

  • レザーブランド
  • ファッションブランド

です。

ちなみに、高級腕時計の要素を満たすかどうかは有名オークション会場で取り扱われているか、とか、時計専門店でロレックスオメガなどと近い位置に展示されているか、などがヒントとなります。

そう考えるとなぜクオーツムーブメントのレザーブランドの腕時計がこんなにも高いのだろうか、と不思議に思う2010年の価格。

なぜこれこれが、ロレックスの人気モデルより高かったのか。

それは、ルイヴィトンに対するイメージが高値を後押ししていたのだと思います。

一般的に『ヴィトン』は最も知られる高級品かつ“高い”というイメージが有ります。そして、そのルイヴィトンが初めて時計を作って、さらにロレックスデイトナと同じ「エルプリ」といわれる機械を積んでいる。

そういわれると、なんだかよくわからないけど凄そうだと思いませんでしょうか。

しかもこのデザイン、近代的でボリューム感もあり、他の時計と比べると「見たことのないデザイン」です。

ですから、ルイヴィトンの時計が高値で取引されていたというのはマーケティングの勝利

しかし、そんな高かったルイヴィトンは、今となっては10万円以上の値下がりです。

これぞまさに流行り商品や人気商品の恐怖事例。

ただ、もしもルイヴィトンがパネライのようなマーケティングを行っていたならば、この時計もここまでの値下がりをしなかったかもしれません。

というのも上記のように出だしは完璧。よって、その出だしで得た評価をしっかりと維持するということが重要だったのです。

たとえば、パネライのようにデットストックムーブメントを起用した特別な限定モデルを作るとか、もっと機械式を充実させるとか、いろいろと手は打てたはず。

しかもルイヴィトンLVMHグループの中核です。

せっかくゼニスを傘下に持っているのですから、もっと積極的にゼニス製ムーブメントのモデルを出せばルイヴィトンの時計はなかなか良い、という評価になって、最初は見向きもしなかった時計に対してマニアックな人々も徐々に巻き込むことができたはず。

そうなって初めて、クオーツムーブメントでも「なんでこんなに高いの」と思われなくなるとなるはずだったのです。

そうすれば全体的にルイヴィトンの腕時計はもっと高かったのでは、と思います。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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