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初のカジュアルラジオミール、オフィチーネパネライ『ブラックシール』PAM00183

このブラックシールが出る以前のラジオミールは、確かに魅力的なモデルでしたが金無垢モデルが基本となるため、安くても60万円台以上(中古で)はするという存在であり、当時の相場からすると簡単に手が出せるというイメージではなかったのです。

ステンレスケースのモデルもありましたが、そっちはデットストックのレアムーブメントを使ったお高い限定バージョン。

つまり、3-40万円で気軽に買えるラジオミールは存在しなかったのです。

そんな中、40万円以下でも買えるラジオミールとして登場したのがこのブラックシール。

筆者自身、「ラジオミールがこの価格だったら買っても良いかも」と思った記憶があります。

しかし、その考えは良くありません。

なぜなら、60万出して金無垢のラジオミールを買っておけば、今頃130万円ぐらいになっていたから。

一方、ブラックシールを『安い』と思って買ったとしても、売ることを考えるとマイナスだったかもしれません。

つまり、買う時の値段を見れば、ブラックシールのほうがお買い得。

しかし、売った後に「買った値段-売却額」を考えると、真にお得なのは金無垢のほうだとわかります。

とはいえ、このブラックシール、なかなか魅力的な時計。

人気があるせいか、2004年に出てからごく最近まで生産されていました。

それまでラジオミールといえば、ゼニスエリートやフレデリックピゲベースの高級自動巻ムーブメントでしたが、ブラックシールはルミノールと同じ手巻きのユニタスベースのムーブメント。

このカジュアルさが良かったのです。

しかし、それはあくまで周りのラインナップが高級志向だったという前提がある状態でのこと。

ブラックシールが登場してから1年たった頃ぐらいから、ラジオミール自体がカジュアルになってしまったため、このブラックシールの位置づけもぼやけた存在となってしまいました。

ただ、最初のイメージとブラックシールというサブネームはラジオミール自体がカジュアルとなってしまった後でも、この時計の人気を支える要素の1つとして生きているのだと思います。

●この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。

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