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2023年6月28日更新

阿部泰治のパテック論 ~第165回~ 6/10【PHILLIPS(フィリップス)】in ニューヨーク

今回は、6月10日(土)にニューヨークで開催された【PHILLIPS(フィリップス)】のオークション結果を、これまでにコミット銀座(以下:当店)が販売した(販売している)時計にフォーカスを当て、お伝えしていきたいと思います。早速見ていきましょう!

※価格については、オークションの落札価格に手数料(27%)が加わった金額となっております。
※日本円につきましては、オークション開催時の直近レートを参照しております。
※USD(アメリカドル)=140.43円

【目次】
◆ Lot.5 『アクアノート ジャンボ』18KWG 「Ref.5168G-001
◆ Lot.7 『ノーチラス』18KRG 「Ref.5711/1R-001
◆ Lot.25 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KWG 「Ref.5970G-001
◆ Lot.26 『ノーチラス』SS 「Ref.5711/1A-014
◆ Lot.31 『ワールドタイム』PT 「Ref.5110P-001
◆ Lot.32 『アクアノート クロノグラフ』SS 「Ref.5968A-001
◆ Lot.54 『パーペチュアルカレンダー』18KYG 「Ref.3940
◆ Lot.56 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG 「Ref.3970E」
◆ Lot.58 『クロノグラフ』PT 「Ref.5070P-001
◆ Lot.69 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT 「Ref.5270P-001」
◆ Lot.118 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG 「Ref.5970R-001
◆ Lot.122 『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』PT 「Ref.5004P-021
◆ まとめ

Lot.5
アクアノート ジャンボ』18KWG
「Ref.5168G-001

Sold for USD 88,900(JPY 12,484,227)

2017年に『アクアノート』生誕20周年記念として、18KWG(ホワイトゴールド)ケースに、42.2mmの通称”ジャンボ”サイズで発表された「Ref.5168G-001」。

こちらは、ブラックグラデーションのブルー文字盤に、同系色のミッドナイトブルーで作られたトロピカルバントを組み合わせたことで、スポーティーで洗練された印象に仕上がっています。当店でも直近でお取り扱いをしましたが、即販売に至っており、その人気の高さが伺えますね。国内正規販売価格も年々上がってきている今、買い時なのではないでしょうか。

Lot.7
ノーチラス』18KRG
「Ref.5711/1R-001

Sold for USD 152,400(JPY 21,401,532)

2015年に18KRG(ローズゴールド)仕様で登場した『ノーチラス』「Ref.5711/1R-001」。

華やかな印象の18KRG(ローズゴールド)ケース・ブレスレットに、同色系のブラックブラウン文字盤の組み合わせは、温かみがあり高級感を放っています。保証書の日付は2017年で、状態は未使用。年式や状態によっての価格差はありますが、市場での実勢価格とほぼ同じ結果となっていますね。SS(ステンレススチール)ケースと比べて製造年数も短く、販売数は少ないと思われますので、そのような点を考慮しても今後が楽しみなモデルの1つです。

Lot.25
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KWG
「Ref.5970G-001

Sold for USD 177,800(JPY 24,968,454)

2004年に発表された、第四世代の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5970G-001」。

こちらは、レマニアベースのムーブメント「Cal.27-70 Q」を搭載した最後の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』であり、2004年から2010年頃までしか製造されていなかった為、入手が極めて困難になっております。この個体はクローズドのケースバックが欠品していますが、その点を考慮したとしても、少し控えめな落札結果でありました。しかしながら、今後更に入手が困難になると思われますし、しっかり注視していきたい1本です。

Lot.26
ノーチラス』SS
「Ref.5711/1A-014

Sold for USD 381,000(JPY 53,503,830)

2021年に発表された、SS(ステンレススチール)ケースの「Ref.5711」最終モデル『ノーチラス』「Ref.5711/1A-014」。

あまりの小ロットから世界中で争奪戦となったこちらは、サンバースト加工されたオリーブグリーン文字盤が、暖色系ライトの下や光量が弱い場所だとブラックに近いグリーンに見え、自然光の下や光量が強い場所だとオリーブグリーンに見える、趣きのある文字盤を有しております。また、この個体の驚くべき点は、ビニール未開封の”シングルシールド”状態であること。当時の国内正規販売価格から考えると、13倍程の驚くべき落札金額となりましたが、状態と希少性を踏まえると納得でもあります。ちなみに、現在当店にもほぼ未使用に近い極美品の商品が販売中となっております。皆さま、要チェックです!(笑)

Lot.31
ワールドタイム』PT
「Ref.5110P-001

Sold for USD 40,640(JPY 5,707,075)

2000年に発表された、現代版『ワールドタイム』の初代「Ref.5110P-001」。

「Ref.5110」は4素材で展開されておりますが、インダイヤルがブルーになっている点や、ケース側面6時位置にダイヤモンドがセットされている点は、PT(プラチナ)ケースのみに見られる仕様となっています。保証書が付属した個体でこの落札金額は、かなりリーズナブルであったかと思います。市場での出回りも年々少なくなっており、こちらも今後が楽しみなモデルですね。

Lot.32
アクアノート クロノグラフ』SS
「Ref.5968A-001

Sold for USD 152,400(JPY 21,401,532)

2018年の新作として、SS(ステンレススチール)ケースに、42.2mmの通称”ジャンボ”サイズで発表された『アクアノート クロノグラフ』「Ref.5968A-001」。

クロノ針、積算計の針、文字盤、コンポジットベルトと、至るところに差し色で使用されている”オレンジ”が色鮮やかで、発表当初から絶大な人気を誇るモデルです。相場が高騰していた時期に比べると落ち着いた価格で推移していますが、今回の落札結果も含め、徐々に高騰し始めて来ている印象です。やはり人気が高いモデルですので、狙っていた方は早めにお探しいただくことをオススメします。

Lot.54
『パーペチュアルカレンダー』18KYG
「Ref.3940

Sold for USD 73,660(JPY 10,344,073)

1985年に発表され、僅か3年程で生産終了となった『パーペチュアルカレンダー』「Ref.3940」。

第一世代から第三世代まである「Ref.3940」の中でも、3時・9時位置にあるインダイヤルが小さく窪んでおり、文字盤とインダイヤルの色が異なるといった特徴を持っています。こちらの個体、付属品はアーカイブのみとなっていますが、市場での出回りも少ないモデルなので、落札価格は適正であったかと思います。”ラグスポ”モデルにフォーカスが当たりがちな【パテックフィリップ】ではありますが、将来的にはクラシカルな雰囲気を持つモデルで、初期製造個体の評価が上がって来るのではないでしょうか。

Lot.56
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KYG
「Ref.3970E」

Sold for USD 127,000(JPY 17,834,610)

1986年に登場した『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.3970」。

リーフ型の針とバーインデックスを採用した、クラシカルなルックスが人気のモデルです。レマニアベースのムーブメント「Cal.CH 27-70 Q」を搭載し、裏蓋はスクリュー(ねじ込み式)となっています。保証書は付属していませんが、ケースはポリッシュされていないと思われる個体で、太くしっかりとしたラグが素晴らしいですね。また、ラグサイドにさりげなく刻印されたホールマークもポイントです。こちらの状態で、この落札価格を見るとリーズナブルだったのではないかと思います。

Lot.58
『クロノグラフ』PT
「Ref.5070P-001

Sold for USD 234,950(JPY 32,994,028)

「Ref.5070」シリーズ誕生10周年となる2008年に登場した『クロノグラフ』「Ref.5070P-001」。

PT(プラチナ)ケースに鮮やかなブルー文字盤を組み合わせた、重厚感漂う上品な印象の人気モデルです。しかしながら、登場した翌年には生産が終了となってしまった為、当時から市場での出回りが非常に少なく、今もなお、お探しになっている方も多いのではないでしょうか。当店でもお取り扱いの実績はございますが、やはり注目度は高く、問い合わせを多数いただき即販売完了に至っています。その希少性を考えると、納得の落札金額ですね。

Lot.69
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5270P-001」

Sold for USD 177,800(JPY 24,968,454)

2018年に登場したPT(プラチナ)ケース仕様の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5270P-001」。

“カッパー”と呼ばれるサーモンカラーの文字盤が特徴的なこちらは、10時〜2時までのインデックスが、アラビア数字のアップライドインデックスとなっており、個性的でカジュアルな印象を与えています。また、レマニアベースの「Cal.CH 27-70 Q」から、完全自社製ムーブメント「Cal.CH 29-535 PS Q」へと変更されている点もポイントですね。人気が高いこともあり、「Ref.5270」シリーズの中でも一番伸びしろがあるモデルではないかと考えていますが、今回の落札金額はかなりリーズナブルであったかと思いますので、購入出来た方はラッキーですね!

Lot.118
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』18KRG
「Ref.5970R-001

Sold for USD 190,500(JPY 26,751,915)

2004年に18KRG(ローズゴールド)仕様で登場した『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』「Ref.5970R-001」。

レマニアベースのムーブメント「Cal.27-70 Q」を搭載した最後の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』として、高い人気を誇っています。しかしながら、僅か6年間の製造期間であったということもあり、当店でもこれまでに2本しかお取り扱いしたことが無い、入手困難なモデルの1つとなっております。最近、レマニアベースのムーブメントを搭載した、「Ref.3970」「Ref.5004」「Ref.5970」のリクエストを多数受けていますので、お探しの方は早めに手にしておくことをオススメいたします。

Lot.122
『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』PT
「Ref.5004P-021

Sold for USD 317,500(JPY 44,586,525)

1994年にPT(プラチナ)仕様で登場した『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』「Ref.5004P-021」。

アラビア数字のアップライドインデックス、インダイヤルのデザイン、リーフハンド等、純粋に「カッコいい!」と思える箇所が盛り沢山のモデルです。また、36mmのやや小ぶりなケースに、スプリットボタンを兼ね備えた大きめのリューズをセットしたことで、実寸以上に大きく感じる、”インパクト大”のデザインとなっています。こちらのPT(プラチナ)仕様のモデルを探されている方は特に多く、今回のように付属品完備で、状態が良い個体はなかなかお目にかかれなくなりました。非常に希少なモデルではありますが、また近い将来、ぜひ当店でもお取り扱いしたいと切に願っております。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の【PHILLIPS(フィリップス) 】オークションの結果を総括すると、市場での出回りがあるモデルについては、現在の実勢価格に近しい落札結果となっていた印象でしたので、その点を踏まえると、「まだ落ち着いた相場が続くのでは?」と予想されます。狙っていたモデルがある方は、引き続きチャンスだと思いますので、気になる点があればお気軽にお問合せください!

ではまた!

●この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。

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