初期リシュモン時代のパネライにおいて、ルミノール系のフラッグシップに設定されていたのがクロノグラフであります。
その時期のパネライは、ラジオミールを筆頭として、ルミノールクロノ、ルミノール40mm、44mm手巻きといったシンプルな構成だったのですが、ルミノールクロノ以上となるとゼニス系のムーブメントが搭載。
また、“裏スケ”となっていたのもルミノールクロノ以上だったため、「ゼニス」や「裏スケ」といった要素は、2001年頃までにおいてパネライの憧れ要素だったといえます。
さて、クロノグラフモデルがゼニス系ムーブメントを搭載するということは、すなわち「エルプリメロ」となるわけで、もちろん、ルミノールクロノにはそれが積まれています。
エルプリメロ搭載のパネライは、1999年に52番が限定モデルとしてデビューした後、2000年から72番(と革ベルトの74番)が通常モデル化。
2003年には72番の後継といえる122番が出たものの、その年をもって「ゼニスムーブメント搭載パネライ」自体が消滅しています。
エルプリメロといえば、デイトナ16520に搭載されていたムーブメントでもあるわけですが、この72番といったクロノグラフは、2002年頃にパネライが大ブームとなった際に、16520のライバルといった存在感となっていたといえます。
当時のパネライは、「ロレックスを買った人が次に買う」といった感覚があり、例えばエクスプローラーの14270を買った後に、PAM00050を買うというのは珍しくなかったといえます。
そのため、72番が16520のライバルだったというのは、決して大げさではなく、当時の感覚として「当たり前」だったわけです。
そんな72番ですが、2016年に値下がりしてからというものの、「以前ほど高くない」といった状態に変化。リーマンショック後といった時期においては、16520と同水準といったことがあったにも関わらず、16520とは比べ物にならないぐらいの相場となってしまったのです。
そして、それから近ごろまでこの72番は「右肩上がり」となることはなく、前回記事で取り上げた2023年3月時点で「2017年水準に回復」といった状態でした。
そんな72番でありますが、現在は“伸びている”といえる様子があります。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2023年3月 の安値 |
2025年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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オフィチーネパネライ
ルミノールクロノ PAM00072 |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥938,124 | ¥1,019,850 | 81,726 | 108.71% |
2023年3月時点で72番は約93万円といった状態でしたが、現在では約101万円。
この間の変動額は約8万円といった規模ですが、72番の相場が100万円超えとなるのは大きな出来事だといえます。
筆者調べではありますが、PAM00072の中古相場が100万円を上回るのは今回が初。
ですから、今回の値動きはエルプリ世代パネライにとって重要だと思います。