このパシャ38mmクロノグラフ、今年2017年の1月に30万を切る個体が存在しましたが、それがすぐに売れてしまって以降、基本的に30万円以上となっていました。
そのため、値上がり傾向なのかと思いきや、30万円以下の個体が複数出てきているため、相場は依然として変わっていな模様です。
ちなみにこの時計、ロレックスのように毎日使うと程度が悪くなりやすく、程度が悪いモノに関しては20万円台前半です。そのため、上記の価格は「良い程度の個体」という前提が付きます。
ムーブメントの価値
このパシャ38mmクロノグラフの資料を見ていたら、興味深いモノを発見しました。
それは、以前売られた個体に添付されていた修理明細書なのですが、その明細書がとても興味深い内容です。
カルティエのメンテナンスというと、コンプリートサービスという名称ですが、かつて「コンプリートサービス」と聞くとムーブメントの交換という印象がありました。
今でも一部モデルはムーブメント交換を行っているようですが、最近ではこのフレデリックピゲのように上級な機械は交換ではなくオーバーホールが行われる模様です。
しかし、10年ほど前まではフレデリックピゲ1185でもムーブメント交換が行われていた模様。
フレデリックピゲのムーブメントはとても高級な印象がありますから、その費用はとても高そうだと感じます。
けれども意外なことにフレデリックピゲでも機械交換費用は5万6000円。
しかもこれ、1185をベースにカルティエが装飾を施しているムーブメントの正規メンテナンス価格です。
この金額を見ると、ムーブメントの価値とはいかなるものか、と考えてしまいます。
重要なことは、ムーブメントそのものの価値や作り込みというミクロな視点ではなく、その時計の全体像を評価するマクロな視点なのだと改めて思います。
仮に、
- ETA2892A2の原価が1万円
- バルジュー7750の原価が2万円
- フレデリックピゲ1185の原価が3万円
だったとしても、
- ETAは30万円台まで
- バルジュー7750は50万円前後
- フレデリックピゲは100万円以上
というような棲み分けがあること自体が重要なのです。
ですから、フレデリックピゲのムーブメントそのものに価値があるのではなく、それが搭載されているという事が価値なのです。
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