パテックフィリップのノーチラスという存在は、現在世界中で大人気となっている様子があり、多くのモデルが目立って値動きしている状態だといえます。
しかし、2000年代中盤までは、全く注目されていなかったといえ、現在からするとびっくりするぐらい人気がない存在だったのです。
また、当時のノーチラスには話題がほとんどなく、1982年から20年近くに渡り、3800/1Aがメインモデルとしてラインナップされていた状況でした。
2000年代前半において、最も新しいノーチラスは、97年に登場した3710/1Aと、同年3800/1Aに追加された黒文字盤でしたが、どちらも目立った存在ではありませんでした。
また当時は、新シリーズとしてアクアノートが登場したばかり。新しいSSスポーツパテックといえばアクアノートという印象があり、ノーチラスはアクアノートの影に隠れた存在となっていたのです。
そんなノーチラスに変化の兆しが起こったのは、2005年前後のこと。
ノーチラス初の裏スケモデルとしてWGの3711/1Gが2004年にデビューしたことをきっかけとして、多くの新作が登場したのです。
これまで、3800/1Aと3710/1Aしかなかったノーチラスが一気にモデルチェンジし、コンプリケーションなどの新しいモデルが続々と登場。
ですから、2005年前後という時代は、ノーチラスにとって過渡期といえる時期だったのです。
そのため、この時代には、いくつかの短命モデルが存在し、結果的にかなりレアとなった存在があります。
その筆頭として、2007年頃から既に評価されている存在が、この3712/1Aであるのですが、このモデルこそ、ノーチラスの元祖コンプリケーションモデルにして、製造期間が1年未満というレアモデルであるのです。
一見すると、現在でも現行モデルの5712/1Aにそっくりですが、耳部分を見ればはっきりと違いが分かります。
5711/1A以降のノーチラスは、3ピース構造となっていることもあってか、耳部分のデザイン自由度が広がったため、カーブした耳となっているのです。
それに対して、この3712/1Aは近代的なノーチラスでありながら、耳が平行となっており、ケースも2ピース構造であるのです。
2ピースといえば、デビュー当時からノーチラスの大きな特徴の1つだった構造ですが、5711/1A以降は基本3ピースとなってしまっています。
ですから、2ピースはノーチラスのオリジナリティとして重要な要素であるのですが、これを備える近代的なモデルは、この3712と5800ぐらいしかないのです。
そして、両者は2ピース構造でありながら裏スケ仕様となっており、まさにいいとこ取りといえる仕様。また、竜頭はねじ込み式ではなく、ポーンと引くだけで時刻調整が可能。
これこそが、2ピースノーチラスの特徴であり、オーナーとしてはグッとくるポイントだといえるでしょう。
さて、そんな3712/1Aという存在は、かつてからレアノーチラスとして特に評価されており、2007年時点でも300万円台後半という水準に位置。この価格は、定価より高い水準だったのですが、当時のノーチラスにおいて定価超えとなっているモデルはこれの他に無いといえる状況だったため、いかに高く評価されていたかが分かります。
そのため、10年以上前からかなり割高なモデルという印象もあったのですが、こういったレアモデルは、割高だと思ってもその後さらに高く評価されることが珍しくありません。
そしてその通り、この3712/1Aという存在は、現在1000万円を超えている状況で、かつてよりずいぶんと高くなっているのです。
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パテックフィリップノーチラス3712/1Aの価格比較
時計名 | 状態 | 2007年秋頃の未使用品(タイムトンネル) | 期間 | 2019年1月の中古安値(楽天) | 変動した額 | 残存価額 |
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パテックフィリップ ノーチラス 3712/1A |
未使用 | ¥3,850,000 | 11 | ¥12,600,000 | 8,750,000 | 327.27% |