この250万円台というアクアノートの水準は、ノーチラスと比べると優秀でないと感じる一方で、コンプリケーションと比較すると優秀という側面もあります。
実際、5065/1Aの250万円台という水準は、5085/1Aや5055など、多くのコンプリケーションよりも高く、新品で売られていた当時の価格序列からすると逆転しています。
しかし、それでもこの第一世代アクアノートのキャラクターを考慮するとやはり優秀とは感じません。
今のように、スポーツモデルに対する評価が世界的に高い時代において、この第一世代アクアノートは、「良い」と思われる要素があるとも感じるのです。
この第一世代アクアノートは、パテックフィリップのスポーツモデルに対する注目度が高くなかった時代に現行として存在しており、注目度が高くなった時代には第2世代にモデルチェンジされていました。
そのため、今となっては、4桁リファレンスのロレックスのようなクラシカル感を感じ、過去にも増して魅力的に感じるといえます。
そういった良い要素を持っていながらも、価格帯や値動きがノーチラス3800に負けているというのは、理由があるのかもしれません。
その理由の1つとして考えられるのは、この第一世代のデザインが一部のアクアノートにおいて、まだ現行として残っているという点です。
それは、女性用アクアノートという存在であるのですが、第一世代のデザインが残っているというよりは、第一世代のデザインは女性向けとなったとも理解されてしまうのかもしれません。
カルティエのパシャCなど、当初は男性用として扱われても、後に女性用という印象になった存在は、あまり優秀な値動きをしない傾向があります。
ただ、アクアノート5065/1Aの場合、大きさ的にもデザイン的にも女性向けという要素は感じません。
そのため、なぜアクアノートが評価されないのかという問いに対する答えは、ぼんやりとしているように感じます。
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