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2021年1月11日更新

阿部泰治のパテック論 ~第41回~ 今後の動向について

みなさま、あけましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年始早々、コロナウイルスの感染者数増加に歯止めが掛からないというニュースからスタートし、当分の間はこの問題と付き合っていくことになりそうですね、、、

さて、年明け一発目の【 パテックフィリップ 】論として、昨年の【 パテックフィリップ 】の動向、価格推移などを見て、私独自の目線で今後についてお話をさせていただきたいと思います。

はじめに

一昨年の夏頃にノーチラスアクアノートをはじめとしたバブルが弾け、香港の暴動から昨年のコロナ問題が起こり、価格の回復、高騰は難しい、厳しいのではないか!?と思っていましたが、いざ蓋を開けてみると、製造年やモデルにもよりますが、以前よりも高くなった、高くなっているモデルが多数ありました。

また、ロレックススポーツモデル、特にヴィンテージや80年代以降のセミヴィンテージと呼ばれるモデルで高い評価(需要がある)がされている、仕上げを入れていない状態=”ノンポリッシュ”と言われる、オリジナルのケース状態を好む傾向が【 パテックフィリップ 】でもみられるようになって来たと思います。

また、メーカーでの保証期間が残っている高年式のモデルが好まれている傾向も変わりませんが、メーカーでオーバーホールがされており、修理保証期間が残っているモデルも非常にオススメであります。

Nautilus[ノーチラス]

先ずはじめに【 パテックフィリップ 】を語る上で、絶対に外せないモデルとなっているのが、ノーチラスだと思います。

その中でもシンプルでありながら人気が高い三針モデル、SS(ステンレススチール)ブレスレット仕様のブルー文字盤「Ref.5711/1A-010」は、ある程度の価格で落ち着いていると思います。新ムーブメント「Cal.26‑330 S C」を搭載したモデルの流通が少なくそちらを探されている方が多いのでしょう。

更にここのところは、当店(コミット銀座)での取り扱いは少ないですが、18KRG(ローズゴールド)モデル「Ref.5711/1R」の市場相場が上がってきている気がします。こちらのモデルも新ムーブメントが搭載されておりますので、そちらが人気の所以だと思います。


*参照:Christie’s

また三針モデルの外せないモデルとして、2020年に生産終了となったSS(ステンレススチール)モデルで、後から追加となった白文字盤「Ref.5711/1A-011」があると思いますが、こちらも高年式で新ムーブメントを搭載した物が有れば、狙い目で面白いかと思います。

三針モデルではありませんが、プチコンプリケーションを搭載した人気のSS(ステンレススチール)モデル「Ref.5712/1A-001」は、以前ですと三針モデルでブルー文字盤「Ref.5711/1A」の方が価格が高い、もしくは同価格帯くらいのイメージでしたが、今では価格は上を行っていると思います。

ミディアムサイズ

当店(コミット銀座)でも年末にかけて3本扱ったミディアムサイズの「Ref.3800」。海外相場や、11月末~12月にかけて海外で開催された時計オークションでの落札価格を参考にし、以前よりも販売価格を高めで設定しましたが、ご購入のお申し込みを複数名のお客様からいただき、時計の状態が良く、オリジナルの保証書が付いたモデルは、資産性も含めて探されている方が多いというのを改めて実感いたしました。

Aqua Note[アクアノート]

続いて、今ではノーチラスと人気を2分するアクアノートについてお話ししていきます。

価格も含めて一番人気であり、買いやすいのが現行のSS(ステンレススチール)モデル「Ref.5167」であると思います。アクアノートと言えばトロピカルバンドのイメージが強く、SS(ステンレススチール)ブレスレット仕様の「Ref.5167/1A-001」よりもトロピカルバンド仕様の「Ref.5167A-001」が人気であると思います。

人気の理由のひとつとして、SS(ステンレススチール)ブレスレットの一コマの幅が大きいため、微調整が出来ず、トロピカルバンドであれば、そのような懸念点もなくなるということが挙げられると思います。

私個人といたしましては、SSブレスレット仕様の「Ref.5167/1A-001」を購入し、トロピカルバンドとフォールディングバックルをメーカーで購入するのがオススメです。割安感を感じるのは自分だけでしょうか(笑)

また、18KRG(ローズゴールド)ケースの「Ref.5167R-001」は、国内販売定価からすると市場相場は抑えられている印象があり、狙い目であると個人的に思います。

トラベルタイムを搭載したモデル「Ref.5164」も人気ではありますが、SS(ステンレススチール)ケースの「Ref.5164A-001」は製造された年式にもよりますが、以前と比べると価格は落ち着いているかと思います。


*参照:PATEK.COM

逆に18KRG(ローズゴールド)ケースの「Ref.5164R-001」は市場で見かける個体も少なくなっている気がしますし、販売価格も以前より上がっていると思います。

‘’ジャンボ’’サイズの42mmケースを採用した18KWG(ホワイトゴールド)ケースモデルのブルー文字盤「Ref.5168G-001」、カーキグリーン文字盤「Ref.5168G-010」、クロノグラフを搭載したSS(ステンレススチール)ケースモデル「5968A-001」もここのところ市場でめっきり見かけなくなっており、価格も以前より上がっていると思います。

初期モデル「Ref.5060A

第二世代モデル「Ref.5065」

同じく第二世代モデル「Ref.5066」


*参照:Christie’s

第三世代で短命で終わった「Ref.5165A」なども状態が良く付属品が揃っているモデルは価格が上がってきている気がしますし、探されている方もいらっしゃると思います。

個人的一推しモデル

最後に、私が昨年個人的に推していた、カラトラバパイロット・トラベルタイム「Ref.5524」

アニュアルカレンダー・クロノグラフを搭載したSS(ステンレススチール)モデル「Ref.5960/1A

上記の2モデルは中古相場を見ると、値段が上がっている傾向が見られ、時計の機能も含めて非常におススメでき、比較的まだお求めやすい価格であると思います。気になる方は是非とも手にしていただきたい時計です。

また、定番の「Ref.5196」をはじめとする、カラトラバのような比較的デザインがシンプルなモデルは、現行で販売されている比較的サイズ感があるものは人気です。市場に流通している個体も以前と比べ少なくなっています。国内販売価格の改定による影響もあり、中古相場はじわじわと上がっていると思います。ただし、以前は紳士モデルとして販売されていた、今となっては小ぶりなサイズ感のモデルにつきましては、一時期と比べると需要面を含めた人気が落ちている傾向があり、販売価格が抑えられていれば買いであると思います。

まとめ

パテックフィリップ 】には複雑機構である「パーペチュアルカレンダー」や「アニュアルカレンダー」を搭載したモデルが多数ありますが、国内販売定価からすると中古相場は比較的買いやすい個体も多く、特にお得感を感じられる時計につきましては買いであると思います。

人気のロレックスに比べると【 パテックフィリップ 】の時計は、圧倒的に市場に流通している個体数が少なく、時計の状態や付属品の有無、もちろん販売の価格に至るまで、お客様ご自身では、なかなか判断するのが難しいと思われます。

私の仕事は、時計の売買はもちろん、アドバイス出来る事があれば、売買に限らず出来る限りお客様に寄り添って接客することです。

まだまだ先行きが見通しずらい年始とはなりましたが、時計を通して皆様が幸せに思える。そんなお手伝いが出来れば良いなと切に思い、2021年は仕事に向き合っていきたいと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

●この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。

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