ノーチラスの3800/1Aといえば、200万円前後といった水準だった頃でも「過去よりもだいぶ高い」という印象だったわけですが、なぜそういうイメージだったかというと、新品として売られていた時代に注目度が低かったからでしょう。
この3800/1Aは1982年に登場してから2005年頃まで製造されたロングセラーであるのですが、ちょうど腕時計ブームといわれた2000年前後の時代に後期型が現行モデルでした。
97年頃からノーチラスは「近代化(当時の)」を施され、SSのメイン文字盤は青文字盤から黒文字盤へと変化。ちょうどこの頃、パテックフィリップのリファレンス末尾に文字盤を示す枝番が加わったため、3800/1Aの「-001」は青文字盤ではなく、この黒文字盤なのです。
そして、そんな3800/1A-001は、2000年代前半頃まで新品実勢価格が80万円台といった水準だったわけで、そのような価格帯でも「誰も欲しがらない」という存在感となっていました。
転機が訪れたのは、2005年前後という時代だったのですが、その頃から徐々に相場が上昇。中古でも100万円を上回っていったのですが、その後2008年にはリーマンショックが発生。中古水準は2007年、2008年前半といった時代をピークに、再び100万円以下となってしまいました。
そして、アベノミクス以降、この3800/1A-001は再び2007年並にまで回復していったわけですが、2015年以降はそれに拍車がかかったように、更なる上昇という状況へ変化します。
その時の水準が、冒頭でお伝えした200万円前後。具体的には2016年12月水準が約213万円でした。
この約213万円という水準は、2007年や2008年前半といった時代を考慮しても、前代未聞といった感覚だったわけで、「上がりきった」という印象を持たれても不思議ではなかったといえます。
けれども、その後3800/1A-001は“更に高くなる”という状況が続き、前回お伝えした今年2月の水準は約487万円にまで到達していたのです。
210万円台という水準でも「上がりきった」といった感覚だった3800/1A-001が、その約3年半後には、480万円台となっていたわけですから、「上がりきった」という印象は当てにならないといえます。
そして、そういったことは、今の様子を見ても「まさにその通り」という状況。
なぜなら、この3800/1A-001は、現在618万円という状況にまで達しているからなのですが、これは『4ヶ月で約130万円の上昇』という値動きであります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2021年2月 の安値 |
2021年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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パテックフィリップ
ノーチラス 3800/1A-001 |
中古 | 0年 4ヶ月 |
¥4,875,600 | ¥6,180,000 | 1,304,400 | 126.75% |
この3800/1A-001が、480万円台となった今年2月水準は、「2017年の5711/1A-010並」といった感覚だったわけですが、その頃、ついに3800/1A-001も「かつての5711/1A並」といった様子に驚きました。
そして、今となっては3800/1A-001は600万円台に達しているわけで、5711/1A-010の2019年3月水準に近いといえる状況です。
かつて5711/1A-010が『400万円台⇒600万円台』となった際、派手な動きという印象がありましたが、そうはいってもそうなるには2年近くの時間を要していたわけです。
それが、今の3800/1A-001の場合、『400万円台⇒600万円台』に要した期間は、たったの4ヶ月。値動きの規模感が、さらに変わってきたと思います。