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現在相場考察

かつての新品実勢価格からどうなったか、オメガスピードマスタープロフェッショナル3570.50

2017年8月16日更新
オメガのスピードマスター3570.50について斉藤由貴生が執筆。本記事では2001年8月の新品実勢価格(2社平均値)と2017年8月の安値(楽天)を比較し現在相場を考察。この16年0ヶ月での変動は11万5650円の値上がりだった。

スピードマスター 3570.50についての考察(2017年8月)

第一次腕時計ブームの際、それまで20万円台で売られていたロレックスが100万円以上になったというような出来事は、大きなニュースとなってより腕時計人気を盛り上げる効果を生み出していたと思います。

しかしその際、値上がりしたロレックスを買うという行為は勿体無いとも思え、ロレックスを避ける人が多かったという事情も存在します。

実際、ロレックスを否定的に捉える意見は雑誌などでも確認することができ、例えば99年7月1日号のブルータスでは表紙を見て分かるように「ロレックスが一番と思っていませんか?」と言っています。

けれども、その表紙に記載されている赤サブなどの価格は、“もしも買っていたらならば、現在膨大な利益を生み出すほど”安かったわけで、実は「ロレックスが一番だと思っていて良かった」ということを証明する出来事です。

ですから、第一次腕時計ブームの2000年前後において、素直にロレックスを買っておけば、なにかとお得な体験ができたということになります。

ただ、ロレックスを避けるという風潮は確かにあったため、ロレックス以外の選択肢としてオメガを買ったという人が多々存在。

そしてそれらユーザーの選択肢として重宝されたのが、オメガのスピードマスタープロフェッショナルでしょう。

スピードマスターはムーンウォッチといわれるようにNASA公式として月まで行ったというストーリーがあるだけでなく、その腕時計づくりもかなり真面目なため、当時新品約16万円だった腕時計としては異例なほど高い品質です。

中身のパーツも肉厚な金属が使われており、かなり壊れづらいチューンが施されているようで、トラブルが少ない時計としても有名。

そのため、価格を見るとかなり「コスパが良い」高級腕時計だという評価になるのは自然なこと。

しかし、そのような時計は世界基準において人気が出るかどうかは別。そのため、当時ロレックスを買っていれば値上がりしたのに、オメガを買ったがために値下がりともなっていても不思議ではありません。

そうすると、売ることを前提とするならばロレックスのほうが結果的には得となります。

しかし値上がりの天使は、実はオメガを買った人にも味方だったのです。

これだけ数の多いスピードマスタープロフェッショナルは、なんと当時の新品価格より今の中古価格のほうが10万円以上も高い水準となっています。

(現在参考の腕時計がありません)

本記事の価格比較

腕時計 状態 期間 2001年8月
の新品実勢価格(2社平均値)
2017年8月
の安値(楽天)
変動額 残価率
オメガ
スピードマスター
3570.50
新品 16年
0ヶ月
¥169,470 ¥285,120 115,650 168.24%

そして、今でも3570.50はかなりの人気があり、この価格帯だとすぐに売れていく様子を目にします。

この記事の個体は、程度が良く価格も安いため、おそらくすぐに売れてしまうことでしょう。

また3570.50に限らず裏スケバージョンの3572.50も当時の約18万円という新品価格に対して10万円以上の値上がり状態。

ですから、かつて10万円台で売られていたオメガは、今となっては中古が30万円程度という価格まで上昇しているのです。

第一次腕時計ブームの際、高級腕時計を買うという行為は「緊張する出来事」だったに違いありません。

しかし、その時“清水の舞台から飛び降りる覚悟”で買った時計は、実は買った値段以上で売られているという「優良な投資対象」であったのです。

この記事の執筆者
斉藤由貴生
腕時計投資家。著書:『腕時計投資のすすめ(イカロス出版)』『もう新品は買うな(扶桑社)』連載:本サイト以外に『日刊SPA!』『POWER Watch』その他『日経マネー』など多数露出。
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