パネライは、2005年頃までルミノールクロノとラジオミールをフラッグシップモデルと位置づけていましたが、『スポーツ系=ルミノールクロノ』『ドレス系=ラジオミール』といった感覚があったといえます。
その時期のルミノールクロノには、ゼニスエルプリメロベースのムーブメントが搭載されていたわけですが、一部限定モデルにはフレデリックピゲが存在。
また、同じく限定モデルとして、エルプリメロベースで「フライバッククロノグラフ」もラインナップされています。
そのフライバッククロノグラフモデルがPAM00060なのですが、この世代のルミノールクロノとしては、唯一、銀文字盤(黒インダイヤル)という配色となっており、「フライバッククロノ」という機構以上に、文字盤の印象が「特別なルミノールクロノ」という印象を与えています。
そういったこともあり、この60番は以前から「特に高い」といった印象があり、2021年8月時点では約230万円といった水準に達していました。
その頃において、同じ世代のルミノールクロノの通常版である、72番は80万円前後といった水準だったわけですから、いかに60番が高かったかが分かります。
しかしながら、そんな60番は2021年をピークとしてその後は値下がり傾向に変化。
今年2月時点では約199万円となっていたのですが、「2019年9月水準よりも安価」だったわけです。
そして、それから今にかけても60番の値下がりは続いている様子。
現在水準は約162万円となっており、値下がり傾向だった今年2月に対して、さらに37万円安くなっている状態であります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2025年2月 の安値 |
2025年11月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
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オフィチーネパネライ
ルミノールクロノ PAM00060 |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥1,998,000 | ¥1,628,000 | -370,000 | 81.48% |
なお、近頃のパネライといえば、この60番といった世代のモデルが上昇している印象がありますが、不思議とルミノールクロノでは、あまり値動き事例が多くないといえます。
72番といった一部モデルでは、上昇事例があったものの、この60番といった「以前から希少性が高い」といった印象のモデルは、逆に値下がりしてしまっている様子があります。
それは、ルミノールクロノ唯一のWGモデル、なおかつフレデリックピゲ搭載のスペシャルモデルといえる105番でも同様。105番は、今年7月時点で約171万円となっていたのですが、それもまた「値下がりに次ぐ値下がり」といった動きでした。
同じくフラッグシップモデルだった時代のラジオミールは高くなっていたり、2000年頃に出た通常モデルでも上昇が目立っているパネライ。
そういった中、不思議と「2000年前半世代」「当時のフラッグシップ」という要素があるルミノールクロノは、「エルプリメロ搭載」だったり「チタンSSコンビ」という強い個性があるにも関わらず、安価に購入可能な状態となってしまっているのです。