スピードマスターには様々な種類がありますが、この「リデュースド」と呼ばれる3510.50はシリーズ最廉価を担うモデルです。
搭載されるムーブメントはETA2892A2で、いわゆる「2階建てムーブメント」と呼ばれるタイプのクロノグラフ。同じ「AUTOMATIC」表記でも、デイトやデイデイトが7750を使っているわけですから、明らかに差がつけられているといえます。
ちなみに、2000年前後という時代において、オメガのムーブメントは以下のような序列となっていました。
ETA2892<7750<レマニア<フレデリックピゲ
ムーンウォッチのレマニアを除くと、自動巻がほぼ全てだったわけですが、その自動巻に序列があったというのが、時計マニア以外には分かりづらかったといえます。
一般目線ですと、同じ「AUTOMATIC」表記ならば、より安く、よりムーンウォッチに近い見た目のこの3510.50が「お買い得」と感じるわけで、実際、多くの方にとって高級腕時計の入門モデルとして選ばれたといえるのではないでしょうか。
そういったこともあり、3510.50は中古市場において数が多く、キャラクター的にも全く「レア」といえない存在だといえます。
そのため、上昇といった値動きのハードルは非常に高いといえ、実際あまり値動きしていないという印象があるわけです。
しかしながら、この3510.50をきちんと見ていくと、実は優秀という側面があることが判明。
それはどういうことなのかというと、2年といったそれなりの長期間で見た場合なのですが、これまで着実に値上がりしているのです。
実際、記事でもこれまで値下がりをお伝えしたことがなく、過去記事はいずれも「上昇」という様子だったわけです。
そして、今回もまた値上がりしている様子なのですが、この時計を記事でお伝えするのは2年ぶり。「目立った値動きしない」という印象が、筆者としてもあったのですが、改めて自分で書いた過去記事を見返すと、2年ぐらいのスパンで着実に値上がりしているということに驚いたのです。
さて、現在の様子はどうなっているかというと、約15万円という水準なのですが、これは2018年5月と比較してちょうど2万円の上昇といった様子。値動き額自体は特にすごいといったところではないのですが、これだけオーソドックスなモデルであるにも関わらず着実に動いているというのが凄いと感じます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
| 腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年5月 の安値 |
2020年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
|
オメガ
スピードマスター 3510.50 |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥134,000 | ¥154,000 | 20,000 | 114.93% |
これまで記事でお伝えした3510.50の相場ですが、2016年6月が約11万円、2018年5月が約13万円となります。
ですから、2016年以降、2年に一度2万円高くなるといった状況だといえ、“塵も積もれば山となる”といったような値上がりとなっているのです。
そして、現在の様子には過去とは異なる部分が1つあります。
それは、「程度が悪い」個体が減ったという点です。
3510.50は廉価モデル、入門用といったキャラクターであることから、これまでボトム価格にはD、Cランクといった程度の悪い個体がそれなりにあったのですが、現在の様子では2番目に安い個体でもABランクとなっているのです。
つまり、過去と比べてボトム価格にあった程度の悪い個体がかなり減ったわけなのですが、このような様子はこれまで見られなかったため異変が起きたと感じます。