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2023年6月6日更新

阿部泰治のパテック論 ~第162回~ 5/24-25【PHILLIPS(フィリップス)】in香港

今回は5月24~25日に香港で開催された、【PHILLIPS(フィリップス)】のオークション結果をお伝えしていきたいと思います。残念ながら現地に赴くことは出来なかったのですが、また近い将来に足を運んで、実際に肌で感じたオークションの様子を皆様にお伝え出来ればと思います。ということで、早速見ていきましょう!

※落札された場合、落札価格に別途手数料(27%)が加わった金額がオークション会社への支払い金額となります。
※日本円につきましては、オークション開催時の直近レートを参照しております。
※HKD(香港ドル)=18.12円

【目次】
◆ Lot.801 『ノーチラス プチコンプリケーション』SS 「Ref.5712/1A-001
◆ Lot.802 『ノーチラス』SS 「Ref.5711/1A-001
◆ Lot.803 『ノーチラス トラベルタイム クロノグラフ』SS 「Ref.5990/1A-001
◆ Lot.807 『アクアノート』18KWG 「Ref.5168G-001
◆ Lot.808 『アクアノート クロノグラフ』SS 「Ref.5968A-001
◆ Lot.821 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT 「Ref.5270P-001」
◆ Lot.851 『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT 「Ref.5971P-001」
◆ Lot.898 『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』18KRG 「Ref.5004R-014
◆ Lot.917 『ワールドタイム TIFFANY&CO.』PT 「Ref.5110P-001
◆ Lot.925 『ミニッツリピーター トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー レトログラード』PT 「Ref.5016P-018」
◆ Lot.937 『クロノグラフ』18KWG 「Ref.5070G-001
◆ Lot.947 『パーペチュアル クロノグラフ』18KYG 「Ref.5970J-001
◆ まとめ

Lot.801
ノーチラス プチコンプリケーション』SS
「Ref.5712/1A-001

Sold for HKD 635,000(JPY 11,506,200)

日常使いに適したサイズ感で、日本人にも人気の『ノーチラス プチコンプリケーション』「Ref.5712/1A-001」。

保証書日付からすると比較的初期に製造されており、ムーブメントには”ジュネーブシール”の刻印が見られます。付属品完備でこの落札価格は非常にリーズナブルであり、直近の実勢価格に近しい結果となったのではないでしょうか。

Lot.802
ノーチラス』SS
「Ref.5711/1A-001

Sold for HKD 698,500(JPY 12,656,820)

ノーチラス』生誕30周年となる2006年から2021年の生産終了まで、常に高い人気でブランドを牽引していた「Ref.5711/1A-001」。

SS(ステンレススチール)ケースに三針、日付のみのシンプルなデザインが人気を博し、ディスコン(廃盤)となった今もなお高価格帯で取引されています。比較的高年式となる、2017年に販売された個体ではありますが、リーズナブルな落札結果になったのではと思います。

Lot.803
ノーチラス トラベルタイム クロノグラフ』SS
「Ref.5990/1A-001

Sold for HKD 825,500(JPY 14,958,060)

2014年~2022年まで生産され、それまでの『ノーチラス』のイメージをより現代風に表現した印象の「Ref.5990/1A-001」。

“トラベルタイム”と”クロノグラフ”を搭載していることでケースはやや厚みがあり、着用時のインパクトが非常にあるこちらは、SS(ステンレススチール)ケース×グレー文字盤の組み合わせがスタイリッシュな印象で、カッコいい!の一言に尽きますね。ほぼ最終となる2021年に販売された個体で、こちらもリーズナブルな落札価格となっています。

Lot.807
アクアノート』18KWG
「Ref.5168G-001

Sold for HKD 508,000(JPY 9,204,960)

アクアノート』生誕20周年を記念して2017年に登場した、ケース径42.2mmの”ジャンボ”サイズと呼称されている「Ref.5168G-001」。

ブラック・グラデーションのブルー文字盤・トロピカルバンドに、18KWG(ホワイトゴールド)ケースの組み合わせは、とても上品で高級感を漂わせています。初期の製造個体ではありますが、状態も良く、お買い得な落札価格となっています。

Lot.808
アクアノート クロノグラフ』SS
「Ref.5968A-001

Sold for HKD 952,500(JPY 17,259,300)

2018年の新作として登場し、こちらもケース径42.2mmの”ジャンボ”サイズと呼称されている「Ref.5968A-001」。

クロノ針・積算計の針・トロピカルバンド、メモリと至る所にオレンジが使用されたデザインが話題を集め、発表当初から高い人気を誇っています。多くの時計が昨年の相場が高騰していた時期と比較して、現在は落ち着いた印象となっていますが、こちらのモデルに関しては一定の価格推移となっています。2021年の後年に販売されている個体ということもあり、納得の落札価格と言ったところですね。

Lot.821
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5270P-001」

Sold for HKD 1,397,000(JPY 25,313,640)

当シリーズ待望のPT(プラチナ)ケースで2018年に登場した「Ref.5270P-001」。

クラシカルかつ、スペシャルなモデルに採用されてきた、”カッパー”や”コッパー”と言われる文字盤カラーに、10時〜2時までのアラビア数字のアップライドインデックスが採用されている、唯一無二の文字盤がポイントです。「Ref.5270」には様々な素材やカラーを纏ったモデルがございますが、こちらは私のイチオシです。この落札価格はとてもリーズナブルであると思いますし、今後がとても楽しみなモデルの1つですね。

Lot.851
『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』PT
「Ref.5971P-001」

Sold for HKD 2,413,000(JPY 43,723,560)

バゲットカットのダイヤモンドを、ベゼル・バックルに配し、文字盤インデックスにもダイヤモンドがセットされた、ゴージャスな仕様の「Ref.5971P-001」。

「Ref.5970」と同スペックとなるこちらのモデルは、レマニアベースのムーブメントを搭載した最後の『パーペチュアルカレンダー クロノグラフ』です。この個体は、納品時の状態からビニール未開封の”シングルシールド”。市場での出回りも少ない為、非常にお買い得な落札価格であったのではないでしょうか。

Lot.898
『パーペチュアルカレンダー クロノスプリット』18KRG
「Ref.5004R-014

Sold for HKD 1,778,000(JPY 32,217,360)

パーペチュアルカレンダーにスプリットセコンドクロノグラフを搭載した「Ref.5004R-014」。

レマニアベースのムーブメントを搭載した、人気の『パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ』「Ref.3970」の上位モデルにあたるこちらは、アラビア数字のアップライドインデックス、インダイヤルデザイン、リーフハンドの組み合わせがとにかくカッコいい1本。スプリットボタンを兼ね備えた大きめのリューズが、やや小ぶりな37mmのケース径にインパクトを与えており、実際のサイズ以上の大きさを感じさせます。保証書はありませんが、アーカイブ・クローズドの裏蓋・調整ピンが付属しております。落札価格に関しては少し高いかな?とも思いましたが、非常に魅力的な個体ではありますので、納得と言えば納得です!

Lot.917
ワールドタイム TIFFANY&CO.』PT
「Ref.5110P-001

Sold for HKD 660,400(JPY 11,966,448)

ミレニアムにあたる2000年に発表された、初代『ワールドタイム』「Ref.5110P」。

PT(プラチナ)ケースの個体は、ギョーシェ仕上げのインダイヤルがブルーとなっており、ここのところ市場での出回りもめっきり少なくなっている印象です。落札金額を見ると、「あれ?随分と高額だな?」なんて思われた方も多いと思いますが、それもそのはず。実は希少な【TIFFANY&CO.】とのWネームモデルなのです!!

「本当にWネーム?」とお思いの方、9時側のケースサイドを見てください。いるじゃないですか!しかもエングレービング!これだけ希少なモデルで、この落札価格は確実にお得です!

Lot.925
『ミニッツリピーター トゥールビヨン パーペチュアルカレンダー レトログラード』PT
「Ref.5016P-018」

Sold for HKD 5,461,000(JPY 98,953,320)

“パーペチュアルカレンダー”・”トゥールビヨン”・”ミニッツリピーター”・”レトログラード”と、複雑機構が詰め込まれた”超絶”モデル「Ref.5016P-018」。

ただでさえ製造個数が少ないモデルですが、PT(プラチナ)ケースに黒文字盤、アップライドのブレゲ数字にブレゲ針という組み合わせは、特に人気となっており、市場での出回りも極めて少なくなっています。過去に当店でも1本だけお取り扱いしたことがあり、高価格帯なモデルでありながらも複数のバックオーダーをいただきました。付属品完備で落札価格は約1億円!驚愕ではありますが、これは納得せざるを得ませんね。

Lot.937
『クロノグラフ』18KWG
「Ref.5070G-001

Sold for HKD 596,900(JPY 10,815,828)

2002年頃~2006年頃まで製造されており、18KWG(ホワイトゴールド)ケースに、シルバー文字盤との組み合わせがクールな印象の「Ref.5070G-001」。

レマニアベースのムーブメント「Cal.27-70 CHR.」を搭載している「Ref.5070」ですが、最初に登場したのは1998年。1940年代に製造された『クロノグラフ スプリットセコンド』のアヴィエーターウォッチを基に、42mm径の18KYG(イエローゴールド)ケースと黒文字盤の組み合わせで「Ref.5070J-001」が登場しています。実は今回の【PHILLIPS(フィリップス) 】オークションでは、18KWG(ホワイトゴールド)、18KYG(イエローゴールド)、PT(プラチナ)と、「Ref.5070」が数多く出品されていましたが、直近に当店でも取り扱った、「Ref.5070G-001」を取り上げさせていただきました。ご購入いただいたお客様には、今後が楽しみなモデルとお伝えしましたが、まさに今後に期待出来る結果となりましたね!

Lot.947
『パーペチュアル クロノグラフ』18KYG
「Ref.5970J-001

Sold for HKD 1,397,000(JPY 25,313,640)

2008年に発表されましたが、その翌年には生産終了と、超が付く程の短命モデル「Ref.5970J-001」。

「Ref.5970」は、こちらの18KYG(イエローゴールド)、18KWG(ホワイトゴールド)、18KRG(ローズゴールド)、PT(プラチナ)と4素材ございますが、こちらのモデルが最も生産数が少ないとされており、希少となっています。華やかな雰囲気ながらも上品で知的な印象を与えるデザインで、高い人気を誇っています。非常にお得感のある落札価格となりましたが、希少性の高さ故に、今後のオークションや市場での価格推移が楽しみであります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の【PHILLIPS(フィリップス) 】オークションの結果を総括すると、市場での出回りがあるモデルについては、現在の実勢価格に近しい落札結果となっており、アンティークやヴィンテージ等の希少モデルは、やはり落札価格が高い傾向にあったかと思います。そこを踏まえると、今後、希少性の高いモデルの価格は、今よりさらに高くなっていきそうですね。

当店でも【パテックフィリップ】の魅力的な時計を多く取り揃えておりますので、皆様のご来店を心よりお待ち申しております。また、CTGも残りあと僅か!是非この機会に、時計の売買をお楽しみいただければと思います。

ではまた!

●この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。

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